スイートオレンジといえば
スイートオレンジと聞くと、いかにも特殊なフルーツのような印象を受けますが、じつはすごく身近な存在なんです。「カリフォルニアオレンジ」がその代表格なのですから。
オレンジはいうまでもなく「ミカン科」の植物。甘種(スイートオレンジ)と苦種(ビターオレンジ)に大別されます。
一般的に、果肉を食べる場合には甘種が好まれ(日本でおなじみの「温州みかん」もこちら)、スパイスとして芳香を活用するには苦種の方が向いているといわれています。
もっとも、七味唐辛子に用いられているのは温州みかんの皮を乾燥したもの(漢方薬として用いられる「陳皮(ちんぴ)」も同一。)ですし、スイートオレンジもアロマテラピーに用いられますので、一概にそうともいえない気もしますが…。
スイートオレンジの原産は中国だといわれています。それを宣教師がヨーロッパからアメリカ大陸に伝え、その後、気候的にマッチしたためかカリフォルニアでの栽培が広まったようです。現在、世界での主な産地はアメリカと地中海地方です。
スイートオレンジの香りでキス
オレンジには"甘酸っぱくてさわやか"な香りのイメージがありますが、これこそがスイートオレンジに含まれている精油の香りに他なりません。事実、食品香料やアロマテラピー用のオイルの原料には、オレンジジュースを搾った後の果皮(ピール)が用いられることが多いようです。
スイートオレンジの果皮から精油を取り出す方法は2つあり、圧搾して抽出するか、水蒸気で蒸留して取り出すかのどちらかです。水蒸気で蒸留したものよりも、圧搾したものの方が色が濃く、香りも強くなります。
香りの成分の90%以上は「リモネン」と呼ばれるものですが、圧搾したものにはベルガブテンやオラブテノールといった成分も含まれるという違いがあります。
とはいっても、抽出法が違っても、効果の差はとくにないのでご安心を。
柑橘系の心地よくフレッシュでフルーティーな香りにはかなり強力なパワーが秘められています。気分を元気にするので、神経性のストレスや緊張を解きほぐし、心を癒す働きや胸騒ぎを鎮める働きがあります。
また、胃をスッキリさせたり、脂肪の消化を助け、腸の働きを整える働きがあるばかりでなく、気管支炎や発熱・風邪などにも有効とされています。肌に用いると毒素を取り除き、疲れた肌を再生するので、とくに乾燥肌やしわによいともいわれます。
ところで、「オレンジ」の語源はアラビア語の「ナレンジ」。無垢と多産の象徴といわれてきました。と、いうことは、スイートオレンジの香りにはファーストキスの頃の気分を呼び戻してくれる効果もあるのかもしれません。さわやかで甘酸っぱい香りがあると、出会った頃のような新鮮な感覚でのキスが交わせることになれるかもしれませんね。