前回はペニス挿入の深さに対するこだわりをご紹介しました。今回はそこから一歩先に進み、ピストン運動そのものについてです。
挿入した状態でありがちな、男性のある行動に「待った!」をかけています。早速ご紹介しましょう。
早いピストンと早い射精が体を傷める
興奮するにつれて、強い快感を求めて「高速ピストン」に燃える男性も多いと思います。喘ぎ声を煽るかのような速度オーバーのピストンについて、『黄素妙論』ではこのようにつづられています。
「ピストンの速度にこだわり、早く抜き差しして、早く射精してしまうのも、体に良くありません。このような急ぎセックスは、肺や呼吸器を傷め、病気の原因となります。」
このように制止されては「それでもいい!」とはいかないかもしれません。医療の発達していない戦国時代であればなおのことでしょう。
八深六浅(はつしんろくせん)とは
俗にピストンのテクニックで「九浅一深」と言いますが、ここで言うのはピストンの回数ではありません。膣の中の浅いところ深いところにペニスを留めておく時間のことを指します。つまりこういうことです。
深く挿入して八回呼吸し、浅く抜いて六回呼吸するようにします。
『浅く』とは、琴弦(一寸)より玄珠(四寸)までを指します。『深く』とは、嬰鼠(三寸)より谷実(五寸)までを指します。八回深く、六回浅くピストン運動を繰り返すのではありません。
※一寸=鍼灸の寸法で、2センチ弱
健康的なセックスのために
ペニスの長さと膣の深さによる個人差はもちろんありますが、『黄素妙論』は、谷実より深くでのピストンは、体に良くないものとしています。膣は伸縮するので、深さを極めようとすれば北極に到達することも可能でしょうが、常にそれを求めるようでは、体には良くない…ということのようです。
かと言って浅すぎると女性が快感に達することが出来ません。ですので男性側の加減…つまりテクニックが重要ということですね。戦国武将もどうすれば気持ち良いセックスができるか、頭を悩ませていたかも…と想うと、すこし親しみを感じてしまいます。
1970年生まれ。1996年より、漫画原作者として活動。2009年、日刊誌連載「日本性史」にて、アダルトライターとして活動開始。
スマートフォンアプリ「セックスの日本史」、女性向けWEBサイト連載「蔦葛物語」「オンナとオトコの日本史/世界史」などの著作がある。