九通りのセックステクニック、その五は『亀騰(きとう)』です。その一、その二にも四聖獣の「竜」と「虎」がでてきましたが、今回はそのうちのひとつ、北の聖獣である玄武が登場しています。玄武とは、すなわち亀のこと。『亀謄』とは、亀が空に舞い上がるさまを表しているのだそうです。「空飛ぶ亀」とは、いったいどんな体位なのでしょうか?
空飛ぶ亀ってどんな体位?
この体位については、以下のように説明されています。
「女性は仰向けに寝て、両膝を曲げます。男性は、その脚を自分の胸に押しつけるようにして、女性の胸を愛撫します。そして男性器を深く挿入したら、嬰女(えいじょ、膣口の左右に位置するバルトリン腺)を愛撫しながらピストンを行います。 時折クリトリスを刺激しながらピストン運動を続け、女性が快感を覚えると、自然に女性の腰が持ち上がってきます。愛液が溢れるほどになったら、男性器を膣の一番奥まで深く挿入し、女性を絶頂に導いてください。このようにすると精力が百倍になります」
正常位の姿勢から、女性の足を持ち上げて深く挿入する「屈曲位」ですね。確かに足を折りたたんだ女性の格好は、亀のようにも見えるかもしれません。この姿勢だと普通の正常位よりも奥に届くので、特に感じやすいという女性も多いようです。
中国では早く見つかっていたバルトリン腺
ちなみに上記でご紹介した「バルトリン腺」は、西洋では十七世紀に、デンマークの解剖学者・カスパー・バルトリンによって発見されたのだそう。本書が参考にした中国の性愛術書『素女経』の成立は、少なくとも十世紀以前です。人体の仕組みについて、中国はずいぶんと進んでいたことが分かりますね。
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■イラスト:フジワラアイ
1970年生まれ。1996年より、漫画原作者として活動。2009年、日刊誌連載「日本性史」にて、アダルトライターとして活動開始。
スマートフォンアプリ「セックスの日本史」、女性向けWEBサイト連載「蔦葛物語」「オンナとオトコの日本史/世界史」などの著作がある。