健康なだけでは妊娠しないから難しい
今回のテーマは、「妊娠しやすい体」についてです。不妊について書かれている本などを見ると、妊娠しやすい体の条件として挙げられているのは、大体以下のことです。
- 月経が毎月ほぼ一定の周期で来ている
- 月経痛が少なく、経血の量も多過ぎず少な過ぎない
- 不正出血がない
- おりものの色やにおいが気にならない
- 基礎体温が高温期と低温期とに分かれている
- 性感染症にかかったことがない
- 開腹手術をしたことがない
- 太り過ぎても、やせ過ぎてもいない
- 急激に太ったりやせたりしたことがない
- タバコは吸わない
- お酒は適度にたしなむ程度
- 栄養バランスのよい食事をしている
これらの条件を満たす人とはつまり、いわゆる「健康な人」。妊娠しやすい体というのは、ざっくり言ってしまうと健康な体のことです。
しかし、健康な体であっても妊娠にいたらないという人も多くいます。そこが不妊の難しいところなのです。
妊娠しやすい体のはずなのに妊娠しないわけ
妊娠しやすい体の条件を満たしているはずなのに妊娠しない――そんな時、次に重要となるのは、女性の年齢やストレスです。
女性の年齢が上がると不妊につながりやすくなることは、すでにあちらこちらで取り上げられているのでご存知の方も多いと思います。
大体35~37歳を境に妊娠率がぐっと下がり、自然妊娠が難しくなってくるのです。40歳を越えると、妊娠率はさらに下がります。
年齢が上がると妊娠率が下がる、その原因は卵子の老化にあります。卵子の老化についてはあらためてお話ししますが、日々新しいものがつくられる精子と違い、出生時に一生分が全て出来上がってしまっているのが卵子です。
私たちが生きている間、ずっと出番を待っているわけですから、老化をするのは当然のことでしょう。
ストレスが不妊に関わってくるのは、強いストレスを受けることでホルモンバランスが乱れてしまうからです。それにより生理不順になったり、生理は来ているけれど無排卵という状態になったりします。
もちろん、不妊の原因には、これ以外にも様々なことが考えられます。
しかし、加齢とストレス、これらが女性を妊娠しやすい体から遠ざけている場合が多いのが現状です。
女性は意外と自分の体のことを知らない
そのほかに、これは筆者の持論ですが、「そもそも女性が自分の体のことをよく知らない」というのも、妊娠しやすい体づくりに大きく関わっているように思えます。
皆さんは、自分の体のどのあたりに子宮があるのか、卵巣はどの辺にあるのか知っていますか?どうなると妊娠するのか、仕組みをきちんと説明できますか?
筆者自身、不妊や妊娠に関する物書きになるまで、そうしたことにはほとんど無頓着でした。きちんと生理が来ていて、避妊をせずにセックスしていれば、勝手に妊娠するものだと思っていたのです。
結局のところ、妊娠しやすい体とは
妊娠しやすい体になれるかどうかは、結局のところ、普段から自分の体を気にかけているかどうかにかかってくるのではないでしょうか。
体を気にかけると言っても、一から十まですべてをチェックする必要はありません。ただ、今日の体調はどうか、睡眠は取れたか、食欲はあるか、便秘はしていないか…など、自分の体の日常的変化になんとなく目を向けること。
そして、さらに言うとストレスと上手に付き合う方法を見つけること。大切なのはこうした当たり前で基本的なことです。
ダイエットの近道がバランスのよい適量の食事と運動をすることでしかないように、妊娠しやすい体に近づくための重要なポイントも、つまるところは「当たり前のことをきちんとすること」、それにつきると思います。
PR会社、マーケティングリサーチ会社、モバイルコンテンツ制作会社などでの勤務を経て、2009年よりフリーランスのライターに転身。
おもに妊娠や不妊に関する執筆を手がけ、医師や専門家への取材も多数。2014年4月に発売された「不妊治療ステップアップベストガイド」の執筆を担当。レディース予防医学指導士。