「2人目ができない」夫婦は意外と多い
「不妊で悩んでいる夫婦」というと、1人も子どもが授からない夫婦のことを想像する人が多いかもしれませんが、「1人目は妊娠したのに、2人目がなかなかできない」という夫婦も、決して少なくありません。
このように、すでに子どもがいる夫婦でも、不妊に悩むこともあるのです。こうした悩みは一般的に「2人目不妊」「第2子不妊」などといわれています。このコラムでは、2人目不妊と呼ぶことにします。
2人目不妊の辛いところは、その悩みを、通常の不妊以上に理解してもらえないところにあります。
- 不妊に悩む人からは「1人いるからいいじゃない」と思われたり、言われたりする
- 不妊治療で通院したくても、小さな子を連れて病院に行かないといけないので、難しい
- 親や親戚から「2人目はまだなの?」と尋ねられて、イヤな思いをする
同じ不妊に悩む仲間なのに、1人も子どもを授かっていない人からは贅沢を言っているように思われ、親や親族からは2人目ができないことへの不満を言われる…そんな一面が、2人目不妊にはあるのです。
2人目を妊娠しない原因は
2人目不妊のおもな原因には、以下のようなものがあります。
2人目不妊の原因(1)加齢
人の妊娠力は、年齢によって変わります。第1子を妊娠した時は、年齢の影響がまだ少なかったけれど、出産、育児を経て、第2子を妊娠したいと思った時には、出産に適さない年齢になってしまっている可能性もあります。年齢が妊娠に与える影響は、個人差が非常に大きいため、たった1~2年の違いであっても、人によっては妊娠適齢期から外れてしまう場合もあるのです。
2人目不妊の原因(2)ストレスやホルモンバランスの乱れ
1人目を出産後、ホルモンバランスが崩れてしまい、妊娠しにくい状態になっていることもあります。産後、体重の増加により体型が変わってしまった人は、そのことによりホルモンバランスが乱れていることもあるでしょう。そのほか、育児によるストレスが2人目不妊の原因になっている場合もあります。
2人目不妊の原因(3)もともと不妊だった
実は多いのが、「もともと不妊の傾向にあったけれど、たまたま1人目を妊娠した」というパターンです。2人目を妊娠しないため不妊の検査を受けたところ、夫や妻に不妊の原因があったというケースは、意外と多いのです。1人目を自然妊娠していると、不妊を疑うことは少ないかもしれませんが、そうした可能性があることも考えておきましょう。
2人目不妊も不妊の一種。病院を受診しましょう
- 定期的にセックスをしている(避妊はしていない)
- 生理や排卵に、特に問題はない
- 1人目を出産してから1年以上経っている
- 2人目を欲しいと切実に願っている
上記の要件を満たしているのに2人目を妊娠しない人は、できれば不妊専門医を受診したほうが良いでしょう。ひと通り検査をすると、思いもよらない原因が見つかることもあります。
「2人目不妊の原因」でも挙げたように、加齢は妊娠を左右する大きな要因です不妊専門のお医者さんは皆、「妊娠するなら、1日でも早いほうがいい」と口を揃えて言います。2人目をなかなか妊娠しないことが気になっていたのに、「面倒だ」「病院に行くほどではない」などと言って後回しにしたことで、治療が困難になる場合もあるので、なるべく早目の受診をおすすめします。
「小さい子どもを連れて、不妊専門のクリニックには行きづらい」という場合は、クリニックに直接問い合わせてみるとよいでしょう。最近では、2人目不妊に悩む人のために、託児サービスを設けていたり、受付を別にしていたりするところもあります。
周囲からの「2人目はまだか?」にはこう答えましょう
最後に、2人目不妊に悩む人が合いやすい、親や親戚からの「2人目はまだか?」への対策をお話ししておきましょう。
「2人目はまだか?」と尋ねてくる人々には悪意はなく、まるでお天気の話でもするかのように、妊娠という非常にプライベートなことを尋ねてきます。このような状況にストレスに感じたり、心が傷ついたりした経験は、不妊に悩むほとんどの人が持っているのではないでしょうか。
まずはそうした発言を真に受けず、受け流すことを意識してください。そして、その上でこう答えましょう。
「頑張っているけれど、まだなんです。」
この一言で「子どもを欲しいと思っていること」と「子どもを授かろうと努力していること」は伝わります。ほとんどの人が、もうこれ以上子どもについて尋ねてくることはないでしょう。
1人目であっても、2人目であっても、不妊に悩む気持ちは同じです。「子どもが1人いるからいい」ではなく、「1人いるからこその辛さ」も当然あるはず。1人で悩みを抱え過ぎないようにしてくださいね。
PR会社、マーケティングリサーチ会社、モバイルコンテンツ制作会社などでの勤務を経て、2009年よりフリーランスのライターに転身。
おもに妊娠や不妊に関する執筆を手がけ、医師や専門家への取材も多数。2014年4月に発売された「不妊治療ステップアップベストガイド」の執筆を担当。レディース予防医学指導士。