経済とセックスの移り変わり

経済とセックスの移り変わり その5 昔は浮気が許されていた?

公開日: 2015/10/16  最終更新日: 2024/04/18
経済とセックスの移り変わり
     

    平安時代の浮気事情は?

    平安男性
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    日本の伝統的な浮気の考え方といえば、男性だけが「子孫を残す」という理由で関係を正当化、正妻以外の色んな女性と関係を結んでしまう。そしてその関係は許された…というイメージでしょうか。しかし、実際はそうとも限りませんでした。それになにも女性だけが、恋愛・性愛の経験を奪われていたというわけでもないのですね。

    「家」の存続が重視される時代であればあるほど、浮気する男女は厳しい目でみられがちでした。恋の文化が花開いた平安時代でも、婚外恋愛は、社会的信頼を落とすため、必死で隠すべきスキャンダルだという感覚が、男女ともにあったのです。「不倫は文化」と考えていたわけではないのですね。

    そもそも死期が迫ったらプライベートで書いたり、もらった手紙はすべて燃やしてしまうというルールが、この頃から上流階級ではありました。その中には秘められた恋文なども含まれていたでしょう(一説に日本史で現存する最古のラブレターが、豊臣秀吉やその時代のものとされるのは、プライバシーを守りたいという感覚が乱世が続いた結果、変化したからだと思います)。

    よりシビアになった鎌倉時代の浮気事情

    さて、鎌倉時代になると状況はよりシビアになります。鎌倉幕府の法律書「御成敗式目(貞永式目)」によると、武家の既婚男性が、武家の既婚女性と恋愛・性愛関係になったのが発覚した場合、両者ともに仕事はクビ、財産も大幅に没収されるなど厳しいペナルティが科されました。

    既婚男性が結婚はしていない女性に手を出すことはグレーゾーンのままでしたが、「子孫を残すために仕方なく」…という言い訳がなければ、亭主関白のイメージの強い武家社会でも浮気は堂々と出来る行為ではなかったのです。

    そもそも側室という存在には「妻の一人」どころか、正妻の承認を得て、家で働いているスタッフというような意味しかありません。正室が生んだ男の子にしか基本的には家を継ぐ権利はなく、正妻が男子を産めなかった場合にのみ、側室の子に家を継ぐ権利が与えられるのが当時の普通なんですね。

    鎌倉武将

    江戸時代~近代は「姦通罪」が成立!?

    江戸時代、徳川幕府・第二代将軍の徳川秀忠は、世間でいわれるほど、年上の正室・お江の尻に敷かれるタイプの夫ではありませんでした。が、お江は秀忠の婚外恋愛を許そうとせず、秀忠はそんなお江に遠慮せざるをえなかったという見方は正しいです。

    ところがお江は、秀忠の男性の恋人(男性同性愛である「衆道」の恋人)にはノータッチだったようなのは興味深いですね。男性同士では子どもが生まれることがないので、多目にみてやろうという感覚でしょうか。

    さて、明治時代以降の日本では、婚外恋愛する既婚女性に「のみ」、姦通罪が科されるようになりました。婚外恋愛をした女性とその相手の男性は逮捕、投獄されてしまったのです。 作家の芥川龍之介が自殺に追い込まれた一因に、彼が長年不倫していたある女性との関係がこじれ、彼女の夫から訴えられてしまう…という恐れが心の中で膨らみ、ノイローゼになったということもあるようです。社会的信頼がゼロになりましたからね。

    日本では(女性の地位が向上し、社会進出も進んだ)1950年代にこの手の法律は廃止されました。しかし現在でも、韓国やイスラム諸国の社会では姦通罪は存在しつづけていますね…。

    江戸の建物

    浮気するのに必要な条件とは?

    人が浮気するには、必要な条件がいくつかあるようです。よく言われるのが「ヒマな時間」と「経済的余裕」。付け足すならば「健康」というファクターも必要でしょう。どの要素が欠けても、浮気はしにくいそうです。
    そもそも現在の日本人は、世界的に見ても、もっとも浮気しにくい性愛観をもっている人が多いとの調査もありますね。その一方で(特に長年の)パートナーとはセックスしたがらない傾向もかなり強いようです。いわゆるセックスレスです。

    互いの性愛的なニーズが食い違っている時、「ヒマな時間」と「経済的な余裕」があって、さらに「健康」で元気であれば、浮気をしてしまってもおかしくはない気もしますが、そこまで余裕が色々とある人も、現代の日本社会では減ってしまった気がします。恋愛すべき!という風潮自体は残ってはいるのですが。「恋愛(性愛)は贅沢品」という江戸時代以前の感覚のほうが、現代日本人にはしっくりくるかもしれませんね…。

    金箔

    恋愛中毒!?源氏物語はなぜ浮気を繰り返した?

    最後にひと言。昨今の日本は非常に男女ともに恋愛の自由が得られやすい世の中になってきましたが、浮気は勧められる関係ではありません。プレイボーイのイメージの強い『源氏物語』の光源氏も、彼が十代半ばで最初に結婚したころはずいぶんとマジメで、浮気など論外だと考えるタイプでした。しかし、葵の上という妻がシャイすぎて、夫婦関係がうまくいかず、つまらないと感じた光源氏はよその女性に手を出してしまう…という浮気をこそこそ繰り返すようになります。

    そのうち彼は浮気していることが普通という、恋愛中毒状態になってしまいます。葵の上を失い、その後、別の女性と本気の恋愛をしている途中もなぜか浮気をしないではいらない体質となった光源氏は、それなりに苦しむことになりました。浮気ってオトナの関係などとキレイに表現されていますが、結局、どれが本気の恋愛かわからなくなり、すべてを失ってしまう可能性が非常に高い気がします。浮気は危ないのです。

    著者:堀江 宏樹(ほりえ ひろき)
    著者:堀江宏樹

    作家・歴史エッセイスト。古今東西の恋愛史や芸術・文化全般などについての執筆活動を続けている。

    最近の出版物としては、原案・監修を務める『ラ・マキユーズ ヴェルサイユの化粧師』(KADOKAWA)のコミック第1巻が発売中。『 本当は怖い世界史 』シリーズ最新刊の 『愛と欲望の世界史』(三笠書房)も好評発売中。

    堀江宏樹さんTwitter⇒https://twitter.com/horiehiroki

     撮影:竹内摩耶

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