将軍のセックストレーニングマニュアルが書かれた『秘事作法』ですが、男子禁制であった大奥女中のための、オナニーテクニックについても書かれていました。いくつかの方法が紹介されておりますが、ここでは4つの方法をご紹介いたしましょう!
指でのオナニー方法
まずは廁などの個室で行う、指でのオナニー。唾で濡らした指で行うことが一般的とされていたようです。
「指先を固くして、さね下うけ口(膣口)よりさねひら(小陰唇)へ、さねひらよりさねたれ(クリトリス)へ、さねたれよりつぼ口(膣)へを繰り返して、いとも早くこする」
これを二百回ほど繰り返すと
「つぼ口盛り上りて、一息に精出んとして腹締まり、つぼ口固く締まる。その時、つぼ口花心(子宮口)に指を軽く当て、両股締めなば、大きくつぼ底脈打ちて、精水、心頭に震えて出る」
とあり、激しいオーガズムが得られるということのようです。
張形(ディルド)を使用するオナニー方法
自分用の張形を作り、それでオナニーすることも勧めています。
「簪(かんざし)や帯留めに、紅布を幾重にも巻いて、太さ3センチほどにしたもの」といった簡単に作れそうなものから「紅絹布をわらび湯または葛湯に浸して丸め、乾かし、幾重にも巻いて、太さ3センチ、頭部4.5センチ、長さは挿入部分16センチ+把手とする」
と、本格的に作る方法まで書かれています。
大奥内では、張形の事を、『夢情留心(むじょうりゅうしん)』と呼んだそうです。とても気持ちよいもの…という思いが表れている言葉ですね。
使い方としては、唾などでこれらの張形を湿らせ、五百回ほども九浅一深で出し入れするということです。
「一息に精水出んとして、つぼ口花心一度は強く締まり、口開かんとする。この時、素早く根心の一こすり、強くさし込みなば、花心開きて、精水強く飛ぶが如く出る」
このように、オーガズムに達する方法まで書かれています。
勤務中のオナニーは推奨されていた?!
奉公中のオナニー方法もかかれています。現代では信じがたいことですが、大奥では勤務中のオナニーが推奨されていたようなのです。女中奉公では、長い時間待機していることも多く、何とその時の暇つぶしとしてのオナニー方法が紹介されています。
正座をしている時のオナニーには、『紅丸型』と呼ばれる、小さな張形を使っていたようです。
「すべからく前後也。上下に擦りなば、身体ゆすり、衣ゆすりて、見苦しく未熟也」
ディルドは上下ではなく、前後に使わないと、オナニーしていることがわかってしまうと戒めています。しかし、次のような記述もあります。
「同座の者、隣にて行礼なすも、介して申さず也」
これは「誰かがこっそりオナニーしていることに気がついても、見て見ぬふりをせよ」…ということ。いかに寛容であったかがわかる一節です。
他に、立って待機している時、こっそりオナニーをする方法も書かれています。方法としては、あらかじめ適当なサイズのクルミの実を膣内に入れておくというもの。
「指先、さねうら(クリトリスの裏側)はもとより、さねした受け口まで届きなば、さねひらこすれば、クルミ玉つぼ口を叩き、さねうらを擦れば、クルミ玉花心を叩く」
このようにして、女性器の外側と内側から刺激することで、オーガズムに達することができる、と説かれています。
「女性だけの環境で働く女性には、心身の健康のために、適度なオナニーが必要である」とのことですが、隠れてすることとはいえ、勤務中のオナニーが推奨されていたとは…。性に対して随分とおおらかだったのですね。
大奥に習い仕事中に…ということはおすすめ致しませんが、正座や立位はオナニーのレパートリーとして取り入れてはいかがでしょうか。いままでとは異なる気持ちよさに出会えるかもしれません。より、ひとりエッチが充実することでしょう。ぜひ試してみてくださいね!
1970年生まれ。1996年より、漫画原作者として活動。2009年、日刊誌連載「日本性史」にて、アダルトライターとして活動開始。
スマートフォンアプリ「セックスの日本史」、女性向けWEBサイト連載「蔦葛物語」「オンナとオトコの日本史/世界史」などの著作がある。