みんなで作る!コミカル恋愛小説新連載!!
妄想女子の恋物語『妄カラ女子』≪シーズン5 味わったことのない気持ち≫
月〜金 毎日16時更新!
■「妄カラ女子」…spotB・シーズン5〜味わったことのない気持ち〜
コミカル恋愛小説『妄カラ女子』。
spotBは、恋に積極的だけどなぜかいつもカラ回りしてしまう「空回りお嬢様」の彩子が主人公。
恋愛模様を交互に月〜金まで毎日更新!
気になる今日の展開は…?
シーズン終了後にはアンケートを実施!
恋の行方を決めるのはアナタ!?ぜひご参加ください!
2015.03/09 up 不安… ●榊川彩子
「それでは私はこれで……」と去っていこうとする瀬野の背中に私は声を掛けました。
「瀬野!」
自分でもびっくりするぐらい、せっぱつまった声でした。
瀬野が少し驚いた顔をして振り向きます。
「瀬野は……私のそばからいなくならないわよね?」
「……何のことを言っていらっしゃるのですか?」
瀬野はいつものように穏やかな微笑みを浮かべて答えましたが、その目だけは笑っていませんでした。
再び背を向けて、瀬野は歩いていきました。私にはもう、瀬野を呼び止めることはできませんでした。
(私も榊川の家に行こう。瀬野がお父様に何を伝えるつもりなのか聞かなけば。そうしてもしも執事を辞めるつもりだと話したら……お父様に止めてもらわなければ)
瀬野の背中を見つめながら、一度はそう思いました。でも、改めてスマートフォンの宗介さんからのメールを読みなおすと、やはりそれではいけないと考えなおしました。
<楽しみにしていますね>
メールはそんなふうにしめくくられていました。
自分からお誘いしたお約束を破ることはできない――。
私は結局、宗介さんとお食事に行くことを選びました。
お店は宗介さんが選んで下さいました。前回よりももっと砕けた印象の、肉料理がメインのお店です。
「僕、草食に思われているけど、じつは肉食なんです」
宗介さんが冗談を口にしながら椅子に掛けます。
私はその冗談に笑いました。……いえ、うまく笑えていたかどうかわかりません。
瀬野のことが気になって気になって、仕方がないのです。その後の会話もどこかちぐはぐなものになっているのが、自分でもわかりました。
「どうかしたんですか?」
宗介さんはすぐに私の様子に気づいたようです。
迷いましたが、「何でもありません」と答えて、「お食事がつまらない」のだと思われるのはいやなので、私自身の素性や、瀬野が執事だということは伏せて、今、悩んでいることをお話ししました。
「ずっと私のそばにいてくれた、その……人生の先生のようだった人が、遠くに行ってしまうかもしれないんです。それが不安で……」
すると宗介さんは水を一口含み、少し考えてから言いました。
「引き止めたんですか?」
「え?」
「行かないでほしい、そばにいてほしいと伝えたんですか? もしその上でやっぱりだめだったら、今度は自分から近くに行けばいい」
思ってもいなかった意見でした。私には「自分から瀬野に何かする」という発想はありませんでした。
「不安なのは、心配ばかりしていて行動をしていないからじゃないでしょうか。不安を打ち消してくれるのは行動だけです。もし結果的にうまくいかなかったとしても、行動していれば後悔はしないで済むでしょう。だから、何かできることがあるのなら、いろいろ考えないでとことんやるのがいいと思います」
……って、あまり人に説教できるほど自分もできていないんですけどね。宗介さんがそう苦笑します。
そのときにはもう、私は席を立ち上がっていました。
「宗介さん、本当に……本当にごめんなさい! このお詫びは必ずします!」
私は深々と頭を下げてから、宗介さんを一人残してお店を飛び出しました。
2015.03/10 up 話しをさせて ●榊川彩子
私はすぐに瀬野の代わりの者を呼んで、榊川の家に車を向かわせました。私のような娘が文句などいってはいけないとはわかっていますが、ドアの開け閉めから運転の仕方までどこか呼吸が合いません。瀬野が日頃、どれほど私を細やかに気遣ってくれているのか、つきつけられているようでした。
榊川の家に着くと、もう瀬野は出ていったということで、書斎にはお父様がいるばかりでした。
お父様は私が榊川の家に戻ったことを不思議がられましたので、私は「瀬野が榊川の家にお父様と大事なお話をしに行くと聞いて、何なのか気になりました」と答えました。お父様はその答えに特に疑問を抱かなかったご様子です。瀬野は現在私つきの執事ですから、きっと私が自分の心配をしていると思われたのでしょう。
「あの、瀬野は、何か……」
「もしかしたら、榊川の執事を辞めるかもしれない」
お父様は少し迷ったようでしたが、答えて下さいました。しかし、「どうしてですの?」という問いにお返事はありませんでした。
私は焦りました。
「でも、瀬野はお父様に恩があるんでしょう。辞めたいといって、すぐに辞めさせるんですの? 瀬野は今の私にとって必要な執事です。止めて下さ……」
「瀬野はもう、私が助けた分以上に働いてくれた。引き止めたが、瀬野がどうしても辞めたいというのなら聞き入れるつもりだ」
瀬野の恋人だったという女性が言っていたのと同じことを、お父様も言いました。
もう、ここで話していても埒があかない。そう判断した私は瀬野を追うことにしました。しかし、瀬野の出て行った先は、お父様も知らないとのことでした。
(電話が通じればいいのだけど……)
書斎を出ていこうとすると、お父様に呼び止められました。
「彩子、お前、瀬野のことをどう思う?」
一瞬、戸惑いました。質問の意図がわかりません。ですが尋ねている時間も惜しかったので、ちょっとだけ考えてから、こう答えました。
「とても頼りになる執事ですから、ずっとそばにいてほしいと思っておりますわ」
お父様は「そうか」と静かにうなずきました。
家の庭で、瀬野に電話をしました。幸い電話はすぐにつながりました。
「瀬野、今、どこにいるの? 今すぐ榊川の家に来てちょうだい」
しかし瀬野の返答は、申し訳ないが今日は代わりの者に私の世話をまかせているのですぐには行けないというものでした。
確かにいつもよりお返事が遅くなるとは言われていましたが、こんなことは初めてです。
「瀬野は、執事を辞めるの?」
たまらなくなって私は尋ねました。
電話の向こうで、しばしの沈黙が流れました。
やがて、瀬野はぽつり、と言いました。
「すぐにお迎えに伺います。少しお話をさせて下さい」
私を後部座席に乗せると、瀬野はすぐに車を発進させました。
車は私のお気に入りの、海の見える道を走りました。
私はこの道から見える夜の海が大好きです。昔、瀬野が執事になりたての頃、ここがお気に入りなのだと言って、何度も車を出してもらいました。瀬野が今、なぜこの道を選んだのかわかりませんでしたが、何となく、聞くことができませんでした。
私たちはしばらく黙っていました。最初に口を開いたのは瀬野のほうです。
「私が執事を辞めようと考えているのを、どうしてご存知なのですか?」
「お父様から聞いたの」
「孝造様が決定前のお話を、ご自分からあえて軽々となさるようには思えないのですが」
瀬野には、隠しごとは通用しないようでした。
私は心を決めました。
「私、見てしまったの。瀬野と……その、瀬野の昔の恋人だという女性が会って、お話ししていたところを」
瀬野の肩がぴくりと動いたのがわかりました。
2015.03/11 up 父でもあり社長でもあり ●榊川孝造
瀬野が榊川の執事を辞めたいと言ってきたときには正直驚いた。常日頃から「一生、この身を捧げて榊川のために働く」と口にして憚らない男だったから、なおさらだ。
詳しく話を聞くと、瀬野は我々とライバル関係にある総合商社からヘッドハンティングされたらしい。それが理由かと考えると腹が立ちかけたが、よくよく聞くと、それは単なるきっかけに過ぎないようだった。
本当の理由は……瀬野は、私の娘・彩子を一人の女性として意識するようになってしまったからだという。
「こんな私は執事として失格でございます。孝造様を裏切ることにもなってしまいます。だから辞職させていただきたいのです」
ヘッドハンティングを飲む気はないが、スカウトを受けたことで、以前から漠然と抱いていた気持ちを再確認し、意志決定に至ったという。
戸惑ったが、そのときの率直な感想は、「瀬野にだったら彩子をまかせてもいい」というものだった。これまでの仕事ぶりを見るにつけ、瀬野の有能さは私の二人の息子に勝るとも劣らないと感じている。彩子の婿になって、これまでとは違う形で榊川を支える柱となってくれれば……と、私は考えた。
少し気持ちが落ち着いてくると、年頃の娘を持つ父であり、日本を代表する総合商社の社長であり、その会社のますますの発展を狙う一野心家でもある私は、こうも思った。
(瀬野がライバル商社のヘッドハンティングを受けるのも、悪くはない話だな)
人も会社も、ライバルがいたほうが早く、確実に成長する。あえてライバルに有能な人材を譲るのも、賭けの部分はあるが、最近トップを独走して気が抜けがちな社員たちにはいい薬になる。
それに――ライバル商社のトップの身辺に、私に恩を感じている社員がいるというのは悪くない話だ。いざということがあれば、瀬野は期待を裏切らない働きをしてくれるだろう。もしかしたら向こうも、瀬野を我が社との「架け橋」にするつもりかもしれない。
もちろん、瀬野を実の息子同様にかわいく思っているという理由もある。私にきちんと恩義を感じ、期待以上に働いてくれた瀬野には、たとえ私のもとでではなくても幸せになってほしい。
申し訳なさそうにしている瀬野に、私は答えた。
「何なら彩子と結婚しても私はかまわないし、ライバル商社に勤めてみるのもお前の社会勉強になるだろう。もちろん榊川にいつづけてくれればうれしいが」
瀬野は私が初めて見るほどの驚きの表情を浮かべて、私を見つめ返した。
だが、彼は固辞した。自分の家はかつて借金で首が回らなくなり、私に助けられた経緯がある。そんな出自の自分が彩子と結ばれるなど、榊川の家風を汚すことになると。また、ライバル会社で働くことは、必然的に私の事業の邪魔をすることになるから、そんなことは絶対にできないと。
しかし私はここで瀬野を手放したくなかったし、彩子も瀬野も幸せにしてやりたかった。家風なんて今どき流行らない話だ。そもそも榊川の初代だって、もとは小さな商家の丁稚奉公出身だった。
「彩子とのことについては、もしも彩子がお前を選ぶといったら、それでいいだろう?」
瀬野はもう一度驚きの表情を浮かべ、それから私から目を逸らした。
「それでも、やはり……」
「とにかく、もう少し考えてみてくれないか」
これ以上畳みかけるのも酷な気がしたので、そう声を掛けると、瀬野は「それでは、そうさせて下さい」と書斎を出て行った。
ライバル商社のことはさておき、彩子と瀬野、か。応援してやりたいが、こればかりはまずは当人たちの気持ちがあってのものだ。さて、どうしたものか……。
2015.03/12 up 彼の人生を考えて ●榊川彩子
私は瀬野がヘッドハンティングを受けたのを聞いたことまでは話しました。でも、「再び恋人に戻りたい」と女性が言っていたことには触れませんでした。
「確かに私は執事を辞めようと考えております。ですが、あのスカウトを受けるためではありません」
瀬野はミラー越しにさえこちらを見ません。
窓の外では、海が満月に照らされています。
大好きな光景をこんなに落ち着かない、苦しい気持ちで眺めることになるなんて、昔の私にはまったく想像できなかったことでした。
「なら、どうして……」
「執事の仕事に限界を感じたのです」
「限界? どんな?」
「詳しくは申し上げられません。私の個人的な感情ですので……。もっとも孝造様にお止めいただきましたので、まだ辞めるかどうかはっきりと決めてはいないのですが」
「それは、私のせいなの?」
私はとっさに思いつきました。だって私は瀬野にいつもわがままばかり言っています。教えてもらうことばかりで、お返しなんて何もしません。瀬野は私の対応に、疲れてしまったのではないでしょうか。
瀬野が一瞬黙ります。私ははっとしました。
――きっと、そうなんだ。
「違います」
瀬野は答えました。
「それよりお嬢様、確か今日は中村様とのお食事の日だったのでは?」
急に話題を変えられて、私は落ちこんでいる場合ではなくなりました。
「え、えぇ。そうよ」
「どうして榊川の家などに行かれたのです? まさか中村様とのお食事をキャンセルされたのでは?」
「キャンセルはしていないわ。食事には行ったのよ。でも、瀬野がお父様に何をお話ししているのか心配でたまらなくなって……途中で飛び出してきたの」
また一呼吸置いて、瀬野は言いました。
「まったく、何ということをなさったのです」
心なしか、いつもより早口になっていました。
車のステレオから、パッフェルベルのカノンが流れてきました。「執事のご指導タイム」が始まるようです。
「まずはきちんとお詫び状を書いて謝って下さい。書面が望ましいですが、中村様はそういったことには慣れていらっしゃらないでしょうから、この際メールでもいいでしょう。内容にはなぜそんなことをしたのか、それについてどれほど申し訳なく思っているかをあくまでも真面目にお書き下さい。その上で今度はお嬢様のほうからお食事の場所をセッティングして、お詫びの手土産を持って伺うのです」
「手土産って、何がいいの?」
「中村様のお好きな食べ物がよいかと存じます。もしおわかりでないのなら、リュパンのケーキはいかがでしょうか。あの店なら今、話題になっておりますし、実際味も悪くありません。誠意が伝わりやすいかと思います」
「わかったわ」
瀬野のご指導は頭には入ってきましたが、気持ちはずっとぼんやりしておりました。
数日後、驚くべきことが起きました。
なんと家に、例の女性――瀬野の元恋人――がやって来たのです。
本来なら瀬野が目を光らせているので私のところに知らない人が訪れることなどないのですが、彼女は瀬野の行動パターンを知り尽くしているかもしれません。
女性は雨宮英梨と名乗りました。
家に上げようとしましたが、彼女は話は短く済ますので玄関でかまわないと断りました。
「あなたは、いったい?」
「瀬野清彦の元恋人よ。今はビジネスパートナーにしようとも考えているけれど」
そう言いつつ会社名や仕事内容をいわないということは、あくまでも私的な訪問ということでしょうか。
「結論から伝えるわね。もしあなたが瀬野のことを少しでも大事に思っているのなら、あなたからも榊川の執事を辞めるように言ってほしいの」
「え……?」
「彼はあなたのような世間知らずのお嬢様の世話役で一生を終えるような男じゃないわ。それに……」
続けて彼女が口にしたことは、私にとって小さくはない衝撃となりました。
「瀬野ももう、いい年よ。人生を考えるなら、早く結婚を計画したほうがいい。あなたのような女性がそばにいては、他の女性が寄り付きにくくなる。もし彼が大事なら、彼の人生をちゃんと考えてあげて」
それだけ言うと、彼女は強い一陣の風が吹き去ったように帰って行きました。
(瀬野が、結婚……)
玄関でくずれそうになりました。
私自身は運命の相手と早く結ばれたいとずっと願っていたのに、どうして瀬野のことには思いが至らなかったのでしょう。
私は本当に、自分のことばかり考えていた子供でした。
(でも、瀬野が誰かと結婚するなんて……)
味わったことのない気持ちが、胸を覆いました。
2015.03/13 up 私はどうしたら… ●榊川彩子
さらに数日後、私は瀬野にいわれた通り、こちらでセッティングしたお食事に宗介さんをご招待しました。
最初に謝罪のメールをお送りしたとき、宗介さんがどれほどお怒りになっていらっしゃるか、あるいは、もうお返事を下さらないのではないかとまで覚悟しましたが、こちらが拍子抜けしてしまうぐらい、宗介さんはあっさり許して下さいました。
<彩子さんの様子から、よっぽど大変なことがあったんだろうなぁと思いました。だから気にしていませんよ。むしろ、改めてお食事ができてうれしいです>
前回宗介さんが選んだお店を参考に、なるべくカジュアルなお店を選びました。宗介さんは固い表情をされていました。私は、宗介さんは本当は怒っていらっしゃったのでは……と不安になりましたが、
「前もそうでしたけど、こういう高級なところって、あまり慣れていなくて……」
というのが理由のようでした。
手土産を渡し、ガス入りのミネラルウォーターで乾杯すると、私は改めてこの間の無礼をお詫びしました。
「メールでも書いたけど、怒っていませんよ。確かにびっくりはしたけれど……。あれ、ちょうどお話ししていた『人生の先生みたいな人』のところに行ったんですよね?」
「はい。宗介さんのおっしゃったことを聞いたら、いてもたってもいられなくなって」
「僕の言ったことが彩子さんの行動につながったのなら嬉しいし、体面を気にしないで行動を起こした彩子さんもすごいなって思いました」
体面を気にしないで……といわれると複雑ですが、褒めて下さっているのですから素直に受け取っておくことにしました。
「きっととても大事な人だったんでしょうね。僕も誰かからあんなふうに思われたい、誰かをあんなふうに思いたいなって、ちょっと憧れちゃいました」
宗介さんは照れたように笑います。
誰かをあんなふうに思いたい――宗介さんが憧れて下さったほど、あのときの私は瀬野のことで頭がいっぱいだったのですね。
目の前に宗介さんという、思いを寄せていた方がいたにも関わらず。
「そういえば、スカウトのお話はどうなったんですの?」
ここで考えこむわけにもいきませんでしたから、私は話題を変えました。
「あぁ、あれは……」
宗介さんの声が少し、沈みます。
「あの食事の何日か後に、打ち合わせをしたんです。店長が営業終了後の店を貸してくれたんですけど、その、あまりトントン拍子ってわけには進まなくて……デビューの話とかも実際にはどうなるかなぁって感じで……」
宗介さんは苦笑いしました。
「そうなんですね。でも宗介さんの音楽ってとても素敵ですから、またチャンスはあると思います。私、何度でも未由センパイとライブに行って応援しますわ」
私が前のめりになると、宗介さんは「ありがとう」と微笑んでくれました。
私たちはしばらくお互いのことを話しました。私は榊川の家のことまではさすがに話せませんでしたが、今の仕事のことや、未由センパイとの出会いを話題にしました。宗介さんはミュージシャンを志すようになったきっかけや、ご家族や、フェブラリー・キャットのことを話してくれました。
私たちは前よりもずっと、近づけた気がしました。
「トントン拍子ではなかった」……私は宗介さんのその言葉が気になっていました。
数日後、未由センパイとフェブラリー・キャットに行きました。センパイはなんだか今までもよりもキレイになったような気がしました。何かあったのでしょうか。
未由センパイはいつもよりも早く、「用事があるから」といってお帰りになりました。
私は宗介さんが忙しくされている隙を見計らって、イケ店さんにスカウトのことについて尋ねてみました。
店長さんは宗介さんを気にしながら、びっくりするようなことを教えてくれました。
何でも宗介さんは、あのスカウトの女性に思いを告げられたらしいのです。でも、「最近気になる女性がいるから」と断ったとのことでした。それで二人の間には妙な距離ができてしまい、話がうまく進んでいないそうでした。
「女性の気持ちを利用してまで売れたくない、ってさ」
それにしても……宗介さんが気にしている女性とは、いったいどんな方なのでしょうか。
考えを巡らせていると、イケ店さんが突然おかしなことを聞いてきました。
「彩子ちゃんはさ、今、好きな人とかいるの?」
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