みんなで作る!ロマンス小説連載「クロス・ラバーズ」
spotAは編集部の美陽の恋物語をお届け。物語はシーズン10へ。
皆様からのアンケートで決まった今日の展開は…?毎日更新!
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■「クロス・ラバーズ」…spotA〜美陽編〜・シーズン10
参加型ロマンス小説『クロス・ラバーズ』。
1つの会社で起こる、2つの恋物語。その模様を月〜金まで毎日更新!
気になる今日の展開は…?
シーズン終了後にはアンケートを実施!
恋の行方を決めるのはアナタ!?ぜひご参加ください!
2014.11/17 up 「うまく言えないけど……」
隆弘への気持ちと聞いて、これまでの様々な出来事が思い浮かんだ。最初は遠くから憧れていただけだったのが、同じ雑誌の編集部に配属され、憧れが失望に変わり、今度は尊敬して、そして今は……。
どんなふうに説明すればうまく伝わるだろう。
だが美陽は、隆弘のまっすぐなまなざしを受けて考えを改めた。
上手に説明するなんて、やめよう。拙い言葉でも、思ったこと、感じたことを順を追って話してみよう。
その軌跡こそが、隆弘のことを好きだという証明になる気がした。
「うまく言えないけど……」
美陽はぽつり、ぽつりと語り始める。
以前からずっと憧れていたこと。でも、ライバルが多そうで何もできずにいたこと。
「下僕になれ」なんて言われて幻滅したものの、一方で京都で助けてもらい、仕事ぶりを見せてもらって、上司として尊敬の念を抱いたこと。
「帰りのバスの中ではすごくドキドキしました。気持ちを伝えてもらって、やっぱり隆弘さんのことが好きだと思って……でも、本当に私なんかでいいのか不安で……」
それでも隆弘はどうして美陽を好きなのかをきちんと伝えて、向き合い続けてくれた。結婚を考えていた女性のことも隠さずに話してくれた。
「今はただの憧れだった頃からは比べものにならないぐらい、隆弘さんのことが好きです。隆弘さんが私のことを大事に想ってくれていることが、ひとつひとつの行動から伝わってきて、とても嬉しいです。一緒にいれることが本当に幸せ」
ときどき、噛んでしまう。隆弘はそんな美陽を、微笑を浮かべながらじっと見つめている。
「……愛しています。隆弘さんに負けないくらい私も大好きです。これからもずっとそばにいてください。」
顔が赤くなっていくのがわかる。恥ずかしくて、このままベッドに潜りこんでしまいたい。
でも、いちばん肝心なことを言うのは、これから。
「初めてです。自分から抱いてほしいなんて言ったの。
……私、隆弘さんとひとつになりたい」
隆弘の視線が熱い。このまま受け止め続けていたら溶けてしまいそうだ。
美陽は心を決めて、ぎゅっと目を閉じる。そのまま、自分から隆弘にキスをした。
2014.11/18 up 「よくできました」
唇だけが触れる軽いキス。それでも美陽にとっては勇気を振り絞らなければできなかったことだった。
唇を離し、目を開くと、隆弘は呆気にとられたように目を丸くしていた。
直後、肩をすくめて苦笑する。
「……不器用な奴だな」
美陽は固まったままだった。本来だったら笑われたことに照れるか怒るかするところだったかもしれないが。
「でも、よくできました」
強く抱きしめられる。さらに、額に柔らかな感触。隆弘がキスをしてくれたのだとわかったのは、一瞬遅れてからだった。
「ちゃんと美陽の言葉で聞けて安心した」
その唇は、今度は美陽の唇に降りてきた。
「好きだ」
隆弘は一旦唇を離す。熱い吐息と混じり合った囁き。美陽の体をぞくりとしたものが駆け抜ける。
再び唇が重ねられ、吐息よりもずっと熱い舌が差しこまれた。
「はぁ……む」
きつく抱きしめられたまま、キスの嵐が続く。息苦しさにときどき息を吸いこむが、隆弘は執拗に追って美陽の唇をふさぐ。
何度も何度もそんなことがあって、隆弘はやっと許してくれた。
美陽を覗きこみ、確認する。
「……体は本当に大丈夫なのか?」
美陽は深くうなずいた。本当にそうなのだとわかってもらうために、もう一度自分から、さっきより強く濃いキスをする。舌も少しだけ入れた。
隆弘はもう驚かなかった。
「本当に美陽には弱いな……」
それまで横向きだった体がひょいと仰向けにされる。その上に隆弘が乗った。体の圧は感じても重さは感じなかったのは、気を使って体勢を工夫してくれたためだろう。
首すじから鎖骨へ、花びらがはらはらと落ちかかるようなやわらかく軽いキスをされる。
「あ……」
美陽は小さな声をあげた。
その声は小さかったが、隆弘の胸に灯っていた火をさらに大きく燃え上がらせたようだった。
「もう止められないからな」
バスローブの胸もとがそっとめくられる。
乳房があらわになった。
美陽は隆弘から目を逸らす。胸を見られているだけで感じてしまいそうだ。
隆弘はバスルームでの続きをするように、乳房のまわりをゆっくりと撫でる。軽く力を入れて揉む。それでも、なかなか肝心なところには触れてくれない。触れそうになると、すぐに指を引く。
「……っ!」
美陽は何度もその「すれすれ」の感触に息をのんだ。触れられてもいないのに、隆弘のそんな動きだけで乳首がすっかり硬くなっている。
今、触れられたら、きっと……。
「あぁん!」
突然、美陽は喘いで背中を反らせた。
尖らせた舌先で、乳首を軽くつつかれたのだった。指で愛撫されると思っていたのに、予想外だった。
2014.11/19 up 「じゃあ、ここは?」
隆弘は片手で美陽の乳房を揉みしだきながら、胸の頂きをさらに舌で攻める。
舐めるだけではなく吸ってみたり、ときには軽く噛んでみたり。
「あ……あん……あぁッ……」
美陽は隆弘にしがみついた。まだ始まったばかりなのに、おかしくなりそうだ。
「もうそんなに感じているのか」
「あ……だって……隆弘さんの指も唇も……すごく気持ちよくて……」
息もたえだえに、美陽は答える。
「ふぅん。じゃあ、ここはどうだ?」
隆弘の指が腰を辿り、太腿に伸びた。
指は太腿の外側から内側に滑りこんで、そこを円を描くように撫でる。
「ん……あ……気持ち……いい」
「じゃ、ここは?」
隆弘の指と舌で美陽の体じゅうを探った。愛撫する部分を変えるたびに、一回一回「ここは?どう?」と尋ねる。そのたびに美陽はとろけそうに感じてしまう。
「ここは?」
「!!」
美陽はピクンと体を硬直させた。隆弘の指が触れたのは、脚の付け根のごく小さな蕾だった。カスミソウの蕾よりもまだ小さいそこは、美陽がいちばん感じるところだった。
「あ……あ……」
答えられないのが、恥ずかしいせいなのか、感じすぎているせいなのか自分でもよくわからない。
「何も言わないなら、わからないな」
隆弘はニヤリと笑って動きを止めてしまった。
「…………」
いじわる、と美陽は目で訴えるが、隆弘はきっとその意地悪を楽しんでいるのだろう。
こうなったら美陽に勝ち目はない。
「気持ちいい……」
性感帯について打ち明けていると思うと恥ずかしくて、声がかすれた。
「ん? よく聞こえないぞ」
「き、気持ちいい」
そんなことを言うだけで、感じてしまいそうだ。
「素直でかわいいな」
隆弘はご褒美だというように、そこを時間をかけてゆっくりと愛してくれた。指だけではなく、唇と舌も丁寧に使ってくれる。
「太腿のほうまで垂れてきてる」
何をとは指摘されなくても、美陽には自分でわかった。愛撫されている部分の少し下の割れ目から、熱いものが溢れ出しているのを感じる。
「美陽が喜んでいるのを、もっとよく見たい」
「……きゃっ」
強い力で、脚を強引に開かれる。隆弘はごく近くでまじまじとそこを見つめた。
「は、恥ずかしい……」
だが、脚は押さえつけられたままで動かせない。
2014.11/20 up 「お願い……」
触れられたい。見られているうちに、そんな気持ちが少しずつ胸の底から湧き上がってきた。
いや、触れられるだけでは足りない。
隆弘を迎え入れたい。
隆弘は美陽の気持ちを知ってか知らずか――いや、たぶんわかってやっているのだろう、悪戯をするようにそこにふっと息を吹きかけた。
「あぁっ!」
美陽はたまらず体をよじらせる。
隆弘の悪戯心は、美陽を包んでいた殻を少しずつ壊していった。
美陽の中で、もう一人の美陽が目を覚ます。
感じさせてもらうだけではなく、自分から隆弘を感じたい。そして隆弘を感じさせたい。そう思う美陽が。
上半身を起こし、隆弘の胸にしがみつく。胸から脇腹にかけてキスをしていく。拙い動きだとわかってはいるが、背中にも指を這わせる。
攻めることをやめ、隆弘は美陽をじっと眺めた。
「美陽……」
隆弘は頭を傾けて、美陽の表情がよく見えるようにする。美陽は目を閉じ、一心にキスを続けた。
ふいに、美陽は腕を抑えこまれた。
隆弘はまだ羽織っていたバスローブの紐をほどき、そのまま美陽の腕を素早く縛り上げる。
美陽の自由は隆弘のものになってしまった。
重なった手首を頭上で押さえられ、全身が隆弘の下に完全に晒けだされる。こうなってはもう何をされても抵抗できない。
「その顔、エロい……もっと感じさせたくなる」
隆弘は囁き、唇と舌でクリトリスをさっきよりもずっとしつこく愛撫した。その動きに美陽の体はすぐに反応する。
もうすっかり、体が隆弘に対して開かれている。
トロトロになったところに、隆弘が欲しかった。
「お願い……」
美陽は呟く。ほとんど無意識だった。
「何をお願いなんだ?」
隆弘が愛撫を休めずに尋ねる。
答えるのは恥ずかしい。でも答えなければ、隆弘はきっと「して」くれない。
「素直になったと思ったんだけどな。もっと焦らしてやろうか」
「いや……」
美陽は目を潤ませて、首を小さく横に振る。
「じゃあ、言ってみな」
「……た、隆弘さんが……」
「俺が……?」
長い間が開いた――ように、美陽には思えた。
「隆弘さんが……ほしいです。そこに……今、濡れているところに」
優しい微笑が隆弘の顔に浮かぶ。だが、美陽にそれが窺えたのは一瞬だった。
塗りつぶされたように目の前が白くぼやける。
隆弘が美陽の中に入ってきたのだ。
「あ……あぁぁぁっ」
美陽は隆弘にしがみついた。
隆弘はゆっくりと美陽の中に沈みこんでいく。
二人はゆっくりとひとつになった。
「た……隆弘さん……好き……」
「美陽、愛してる……」
その晩、二人は朝までかたく抱き合って眠った。
2014.11/21 up もう一歩前に
数ヶ月が経った。
新雑誌「Conrad」の売れ行きは順調で、隆弘も美陽も相変わらず忙しい毎日を過ごしている。
ただ、忙しいなりに製作のペースが掴めてきて、以前よりは精神的に多少落ち着いてきた。
二人は主に週末にどちらかの家を行き来したが、隆弘は夜、オフィスに誰もいなくなると、ときどき美陽にちょっとした悪戯を仕掛けた。
キスをしたり、それ以上のこと――確実に人が来ないとわかっているところで、服ごしに、ときには服の下から軽く愛撫をしてみたり。
それでも美陽はいやではなかった。隆弘は限度をきちんとわきまえている。隆弘と一緒なら、絶対に大丈夫だという安心感があった。
そんな日々が続いたある日のことだ。
隆弘は、外国人の執筆者の契約資料を受け取るべく、法務課に出向いた。
法務課では哲也がPCに向かって黙々と何かを打ちこんでいる。直接面識はないが、同期の後輩で、かつ美陽の親友の彼氏だということは知っていた。
隆弘がさりげなく哲也に視線を向けていると、哲也も気がついた。何となく距離のある二人は、目だけで軽く挨拶を交わした。
少しして隆弘は別の人物から受け取った件(くだん)の資料を受け取った。資料はすべて英語で書かれていた。英語はある程度理解できる隆弘だが、さすがに仕事で、かつ契約関係となると自信はない。
(ここはやっぱり専門職の力を借りるか)
隆弘はその足で、法務課の隣の秘書課に向かった。月乃に頼むつもりだった。月乃の英語力は、美陽の親友だからという理由だけでなく、副社長の通訳をしていることからも知っている。
秘書課の入り口にいた人物に取り継ぎを頼むと、奥から月乃がやってきた。月乃の表情が少し和らいだのは、隆弘が美陽の彼氏だと知っているだろう。
隆弘はその場で資料を見せ、翻訳を頼みたい旨を話した。
「わかりました。一、二日中にはお渡しできると思います」
月乃は受け取って一瞥すると即答した。
ふと隆弘は、月乃の右手の薬指に、シンプルだがセンスのいい、華奢な銀のリングが光っているのに気づいた。
(指輪……か)
自分で買った、特に意味のないアクセサリーかもしれない。だが何となく気になった。
(俺たちもそろそろ、もう一歩前に進む頃かな)
エレベーターで編集部のあるフロアに向かいつつ、隆弘は考える。
週末には美陽とデートの予定がある。まだどこに出かけるか決めていないが、そこで「何か一歩前に進むこと」をしようと、隆弘は思った。
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