『恋欠女子とバーチャル男子』ストーリーF3

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『恋欠女子とバーチャル男子』ストーリーF3

みんなで作る小説!ストーリーF
恋欠女子とバーチャル男子「AI」との恋愛応援物語



タイトルアンケート

■恋欠女子とバーチャル男子ストーリーF

みんなで作る!恋愛応援小説『恋欠女子とバーチャル男子〜AIがあなたのお悩み解決します〜』が新連載としてスタート!アンケートの結果で行方が変わる、恋愛模様に目が離せない!

不思議なアプリ 「バーチャル男子」の開発秘話を公開します!




タイトルアンケート
アンケート


2017.7.10 up 「どこか遠いところに行く」

挿絵


 キスが終わっても、後ろの柱に手を突いて私を逃さないようにするような星野さんの、格好はそのままだった。つまり、「壁ドン」というやつ……。


 その体勢で私の顔をもう一度覗き込んでくる。真っ黒に光る優しげなまなざし。でも奥には覚悟のように強く、揺るがないものを秘めている。


「今夜は帰さないよ、いいね」


 彼にもう一度聞かれて、私はこくりと頷いた。


 ドアを開けてもらい、星野さんの車に乗り込んだ。


(いよいよ、星野さんと……)


来るときから予感はあったし、そうなればいいと思っていたけれど、いざ現実になってみると心臓がせわしなく高鳴ってしまう。車のエンジンがかかっている状態でさえ、隣の星野さんに聞こえてしまうのではないかと心配になった。


 このまま星野さんの家に行くんだろうと思っていたが、車は夜の高速道路に入ってしまった。家があると聞いていた場所とは全然違う方向だ。


「海に行こうと思うんだ」


 私が尋ねるより早く言った。


「明日は休みだし、少しリラックスするのもいいんじゃないかと思って。電車や秘湯の話はさんざんしていたけど、二人で遠出したことなんてなかったじゃない。二時間ぐらいで帰ってこられるところにするつもりだけど、いやだったら高速を降りるよ」


「行ってみたいです」


 即答した。「どこか遠いところに行く」話で盛り上がることの多い私たちだったから、近場でも、星野さんとお出かけできるなんて嬉しい。


「嬉しいな。星野さんと海を見られるなんて」


 ちゃんと、そう伝えた。「受け身にならず、自分からも気持ちをはっきり伝える」――今度の恋では、そうするんだと決めている。だから胸の内にしまっておくだけでなく、言葉にした。


(前の恋と同じ失敗はしない。学んだことを活かすんだ)


 高速道路を降りて、古い家並みが並んだ先にあった駐車場に車を止める。細い道を歩き続けると、やがて人気のない海に着いた。


 それなりに有名なエリアのはずなのに、住宅街に近いせいか、人の姿がまったくない。背後の少し離れた道路からときどき車の音や人の話し音がするほかは、波の音しか聞こえなかった。満月に向かって満ち始めた月は明るく、その光だけでまわりに何があるかおぼろげに見える。星も点々と見えた。


 私たちは砂浜に座った。横に並ぶのではなく、星野さんの脚の間に私が入って、後ろから抱きしめてもらった形だ。私も軽く星野さんの腕を握り返した。


 言葉もないままに、髪や頬に何度もキスが降ってくる。髪をアップにしていたので、首筋にもキスをされた。星野さんの唇が近づくたびに、切なげな吐息が聞こえた。私のことを愛おしく思ってくれる気持ちが、その吐息から、唇から、指先から、溢れていた。


「なんか、ここ、色っぽい」


 星野さんは微笑しながら剥き出しになっている首筋を唇でなぞった。


「ん……」


 敏感なところを唇で触れられ続けると、さすがにちょっと感じてしまった。




2017.7.11 up 「オアシス的な存在」

挿絵


「あ……っ」


 わあ、ダメ。こんなところで声が出ちゃったら……恥ずかしい。今は人気がなくても、いつ誰が通りかかってもおかしくないのに。


 でも拒めない。「星野さんが好き」という気持ちがさらに湧き上がってきて、むしろそれ以上のことまでしてほしくなる。


 星野さんが、名残惜しそうに唇を離した。安心したような、がっかりしたような複雑な気持ちになる。


「ごめんね。たまきちゃんがすごくきれいだったから、我慢できなくなってた」


 照れ笑いして、後ろから抱きしめる腕にさらに力をこめる。息が詰まってしまうぐらい、強く。


 柔らかな声が、耳を撫でた。


「今日の夜空も、君もきれいだ」


「嬉しい」と言おうと腕の中で振り向きかけると、星野さんが真っ赤になっていた。


「ごめん、こういうの、じつはあまり慣れてなくて」


 なんか、照れるねと星野さんは鼻の先を掻いた。


 私たちはしばらく黙って、じっと波の音を聞いていた。


 しばらくして、私は尋ねた。


「星野さんは、どうして私のことを好きになってくれたんですか」


 今、いきなり思いついた疑問ではなく、ちょっと前から聞きたいと思っていたことだ。


「私を好きになったことにとくに理由はない」と昌太郎は言っていた。私が自分に自信が持てず、結果的に昌太郎を傷つけるような行動をした原因のひとつには、「なぜ好かれているのかわからない」ということもあった。


星野さんが私を好きになってくれたのにも、理由はないのかもしれない。でも、ないのなら今度は自分で自分のいいところを見つけていこうと思っていた。逆に、もしも理由があるのなら、もっと好きになってもらえるようにそれを磨いていきたい。


星野さんは少し迷ったように間を置き、決心するような小さい溜息をついてから言った。


「たまきちゃんがバイトで入ってきたとき、俺、ちょうど心が折れそうになっていた時期だったんだよね。仕事を頑張っても望むような結果につながらなくて、この仕事、向いていないのかも、やめようかなとさえ思っていたんだ」


 星野さんの仕事はデータ管理だが、より正確にいえばそこからユーザーの動向を把握して、社内で次に開発する企画を提案することまで含まれている。当時、星野さんが提案した企画は片っ端から没を食らっていたそうだ。


「でも大学生の子がこんなに頑張っているんだし、社会人の俺も格好悪いところは見せられないなと思って。結果はさておき、この子に格好いい大人だと思われるような生き方をしたいって思ったんだ。たまきちゃんがいてくれたから、折れずに済んだ。たまきちゃんは俺のオアシス的な存在だったんだ。自覚はないだろうけど、頑張っている姿にすごく励まされたんだよ。ああ、いいな、ありがたいなと思っているうちに……いつの間にか、好きになっていた」




2017.7.12 up 「新しい恋を、するんだ」

挿絵


「頑張っている姿……」


 私は繰り返した。


頑張っていたといわれれば、確かに頑張っていた。当時は失恋したばかりで、バイトでも学校の課題でも、やらなくてはいけないことがあるのならとにかく全力で取り組むしかなかった。余力を残してしまえば、昌太郎のことを思い出してしまうから。だから頑張るしかなかったのだ。


失恋の結果の行動が、回り回って新しい恋につながるなんて。


「最初は自分のモチベーションを維持するためにたまきちゃんを利用したようなものだったからね、不純だって言われたら否定はできない。でも今は、自分のこととは関係なく、たまきちゃん自身が好きだ」


 私を抱きしめる腕に、また力がこもった。今度は力だけでなく、熱も帯びたような気もした。


 背中に貼りついた星野さんの胸から、トク、トクと鼓動が伝わってくる。


「たまきちゃんは? たまきちゃんは、俺のどこを好きになってくれたの」


「格好いい大人なところです」


 あまり考えず、私は言った。答えは最初から自分の中にあった。


「頼りがいがあって、いいところを褒めてくれるだけじゃなく、悪いところがあればちゃんと叱ってくれて。ただ甘やかされたり、適当にあしらったりされるよりもずっと頼りになると思いました」


 ふと体が軽くなった気がした。星野さんが力を緩めたわけじゃない。抱きしめられる心地よい強さはそのままに、まるで窮屈な覆いがはずれたような感じだった。


 ううん、違う。軽くなったのは体じゃない。心だ。私はやっと、昌太郎との失恋から一歩前に進めたんだ。自分の気持ちを言葉にして、好意を伝えられたことで。相手に寄り添ってもらうと同時に、自分からも寄り添う恋ができるようになったことで。


「そうか、よかった」


 ふふ、と星野さんが笑う。「格好いい大人だと思ってもらえた上、好きにもなってもらえたなんて」


 風のない、穏やかな夜の海。その波頭に、パールのような色の月光がきらきらと輝いている。優しいきらめきは、私たちを祝福してくれているようだった。


「今日はますます、離したくなくなった」


「私も、星野さんとずっと一緒にいたいです」


「……そろそろ行こうか」


 私たちはどちらからともなく立ち上がると、手をつないで駐車場を目指した。


***


「えっと、これって……?」


星野さんの家は段ボール箱だらけだった。ベッドとテレビ、それに洗濯機ぐらいしか、梱包されていないものがない。


「引っ越すんだよ」


「えっ?」


 ちょっと待って。聞いてない。ということは、いきなり遠距離恋愛になるってこと?


「あ、いや、東京は離れないし、会社はそのまま本社勤務。ただ、住む場所が変わるってだけ」


 私の不安をすぐに察してくれたらしく、星野さんは慌てたように言った。


「会社の家賃補助のシステムが変わって、住むエリアを変えないといけなくなったんだ。本当はもっとまともな状態で呼びたかったんだけど……でも次の部屋はここより広くなるから、たまきちゃんにも快適に過ごしてもらえるかも。これからもずっとたまきちゃんのそばにいるよ」


 顎をくいと持ち上げられてキスされたと思うや否や、両足が床から離れた。


「え、ちょっ……」


 だ、抱き上げられている……お姫様だっこ、されてるっ!


「散らかってるからね。転んだりしないように、安全なところまで運びますよ、お姫様」


 星野さんは段ボールの並ぶ部屋の中をどんどん進んでいった。


***


 星野さんの後でシャワーを浴び、洗面所でヌレヌレ・スイートキッスを塗りなおした。


(よし、キレイ)


 鏡を覗き込み、自分を励ました。


 新しい恋を、するんだ。




2017.7.13 up 「激しくなっちゃうかも」

挿絵


「たまきちゃん、色っぽくてそそられる」


向き合って座ったベッド。見つめ合ううちに唇が近づき、重なった。


お互いの「好き」という気持ちを確かめ合い、味わい合おうとするように、舌が絡み合う。


「ん、んむ……は……っ」


 唇を離さずに星野さんは私を押し倒し、服をそっと脱がせていく。


下着姿になった瞬間は、恥ずかしかった。昌太郎と別れて半年以上。あのときは、誰かに裸を見せるなんて二度とないだろうと思っていたぐらいだったのに。


なんだかもう一度、処女に戻ってしまったような気持ち。


「恥ずかしい……」


 胸や脚の間を隠そうとした腕を、星野さんはまとめて私の頭上に押さえつけてしまった。片手で両手首をまとめて押さえ、動けなくする。まるで拘束されているみたい。


「隠さないで。君のこと、もっと知りたい」


 自由なもう片方の手を背中に回し、ブラのホックをはずした。胸があらわになる。


「すごくきれいだ」


挨拶をするように、胸の頂の膨らみにキスをする。


「ふぁんっ」


たったそれだけの刺激で、そこがつんと硬くなったのがわかった。


 驚いている隙に、今度は下を脱がされてしまう。


「あっ、や……っ」


反射的に太腿をすり合わせる。星野さんの指が、その隙間にそっと忍び入ってくる。


指は、あくまでも優しく紳士的だった。無理にこじ開けようとせず、こちらが慣れるのを待ってくれるように、花びらやクリトリスを撫でる。


「あ、あん……」


 たっぷり甘やかして大事にしてくれるかのような動き。恥ずかしいという気持ちと、もっと気持ちよくなりたい、感じたいという気持ちが入り混じって、さらに強い官能になる。


 いつしか星野さんは私の脚の間に体ごと割って入っていた。そそり立って硬くなったものが、愛液でぬめって光る内腿に触れている。星野さんはベッドの脇のサイドボードから手早くコンドームを取り、彼自身に装着した。


「もっと……もっと知りたいよ。君のいちばん深くて熱いところまで……」


 アソコに熱があてがわれる。愛しい侵入者を迎え入れる瞬間のはっと息が詰まるような感覚に、身も心も蕩けそうになる。


「お願い、優しくして……」


 星野さんが大好きだから、大好きな人とひとつになれるのが嬉しくてたまらないから、乱れてしまうかもしれない。感じすぎてしまうかもしれない。それが少しだけ怖い。


「約束はできないな」


 眉間に皺を寄せて、星野さんは苦笑する。もう止められないという余裕のなさが、その皺から伝わってきた。


「君が好きすぎて、激しくなっちゃうかも……」


 言い終わらないうちに、星野さんは私の中に入ってきた。愛液ですっかり柔らかくほぐれた粘膜を割り、奥を目指して昂(たか)ぶりながら、進む。


「んんっ、あ……」


 星野さんは切なげに顔を歪めた。


「たまきちゃんの中、気持ちよすぎて……変になりそう」


 その後は「激しくなっちゃうかも」と星野さんの言った通りになった。何度か体勢を変えながらしつこいぐらいに奥まで突かれて、私たちは一緒にイッた。




2017.7.14 up 「これからもずっとそばに」


 気がつくと、カーテンの隙間から見える空が青っぽくなっていた。夜明けだ。


 家に着いたのが遅かったから仕方がないのだろうが、何時間も求め合っていたのかと思うと、我ながら恥ずかしくなる。


 どこからか小鳥が鳴く声も聞こえた。


「もう朝だね。たまきちゃんが可愛くて、時間が経つのを忘れた」


 私の手を両手で包むように握り、何度もキスをする。次第に手の甲だけでは足りなくなったのか、やがて指を一本一本取ったキスに変わった。セックス自体は終わっても、愛はまだまだ湧き上がっているのだというように。


挿絵

「これからもずっとそばにいたい」


 キスの合間に、星野さんは私を見つめた。


「私も……大輔さんのそばにいる。大輔さんのことが、大好き」


 私も大輔さんを見つめ返す。瞳にできる限りの熱を込めて。


「ね、いつか大輔さんと私の休みが重なったときに、鈍行電車に乗って、一緒に温泉に行こう」


「わかった。約束」


 小指と小指を、私たちは絡ませ合った。


***


***


 私は藤沢遥。ソフトウェア開発会社の宣伝・広報部に所属する28歳だ。


最近、ウチの会社は「アイ」という人工知能を使ったアプリを開発した。それがなかなかヒットしているので、私たちの部も忙しくなっている。プレスリリースの制作やチェック、広告のデザインの調整、取材の対応――。


私は今年で入社5年目。これが新入社員や2年目だったらてんてこ舞いになっていたかもしれない。


他部との連携にも慣れてきた。その日も次の広告戦略についての企画書をまとめるべく、マーケティング部所属の星野くんから貰ったデータとにらめっこしていた。


(昔はこのにらめっこが、何日も続いていたのに……)


 今は一日もあれば、少なくとも大体どっちに舵を切ったらいいのかという方向性ぐらいは掴めるようになった。


 ちなみに、星野くんも最近は成長がいちじるしいようだ。渡してくれるデータが、以前よりもずっと緻密になっている。それを元にした開発案の提出も、私や私の部には直接関係ないけれど、好評だという。


(皆、それぞれ成長しているんだなあ)


 としみじみ思う。


 ところで私は最近、ある人のことが気になっていた。


 その人とは、直属の上司の二階堂 将(まさる)さん。私より5歳年上の32歳で、すでに主任というポストにも就いている。


二階堂さんは穏やかな物腰で一見柔和に見える人物だが、人にいやと言わせない「隠れS」っぽい雰囲気も漂わせていると、バイトや入社1、2年目の若い女の子たちの間では話題になっている。話題になるぐらいには、イケメンなのだ。私にはその雰囲気は、Sというよりは大人の余裕に見えるのだけれど。


二階堂さんの仕事の手際や進め方には見習いたいところが多い。恥ずかしい話だが、長年一緒にいながら最近になってやっとスゴさがわかってきた。私自身「少なくとも彼はスゴいと理解できる」レベルまで上れたからだろう。


その気持ちが、いつしか恋になっていた。


(でもきっと、「すごいなあ、尊敬しちゃうなあ」と思うだけで終わる、報われない恋なんだろうなあ)


 二階堂さんには他社に大学の同級生だった彼女がいるのだと、ずっと前に同じ部署の先輩から聞いていた。彼女がいるのだとわかっていながら近づける度胸も魅力も、私にはない。


 だが、最近――二階堂さんが恋人と別れたのだと噂を偶然耳にした。噂の出どころは彼がイケメンだと騒ぐ女の子たちで、確証はないのだけれど。


(本当だとしたら、ひょっとしてチャンスなのかなあ)


 私は……




シーズン1終了

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タイトルアンケート


● ??? さん
裸のたまきさんを見て星野さんが「すごく綺麗だ。君のすべてを知りたい」


● 舞華 さん
おまえがいてくれてよかった。


● ??? さん
お姫様抱っこ


● ??? さん
段ボール箱だらけでベッドとテレビしかない部屋。 不思議そうに見ていると、「まだ正式に辞令は出ていないけれど、来月から別の事務所に異動になるんだ。 だからその引っ越しの準備だよ。」と言われる。


● ??? さん
you r the one!


● とろちゃん さん
「今日のたまきちゃん、色すごくっぽくてそそられる」 いつもは優しい星野さんにSっぽく焦らされて激しく攻められて、たまらなくなる。


● たんきー さん
情熱的なキスを何度も


● ??? さん
頭にキス。愛おしくて仕方ない仕草


● なち さん
お前が好きだよ


● マイマイ さん
後ろから抱きしめて、もう少し一緒にいたいと言ってほしい。


● ぷ〜ちゃん さん
今日の夜空も君も綺麗だよ


● ??? さん
バックハグ






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