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同居美人A6

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■同居美人プロジェクトAストーリー6



あらすじ
アンケート


2016.4.11 up 「こんなときに器用になれない」

挿絵

 私は混乱した。


どんなことをどう伝えればこの場を乗り切れるのか。平野井さんに迷惑をかけなくて済むのか。


 頭の中で、いろんな言い訳が目まぐるしく回る。


――好きって言っても恋愛感情の好きじゃなくて、人として好きって意味で……。


――好きというよりは、憧れなんです。


 間違ってはいない。でも……。


 苦しかった。


「……すいませんっ」


 たまらなくなって、平野井さんの部屋を飛び出した。これ以上ここにいたら、うまく息ができなくなりそうだった。


「千織ちゃん!」


 平野井さんの声が背中を追ったが、無視する。


 こんなときに器用になれないのが、悔しくも情けなくもなった。


 いったん部屋に戻ってお財布とスマホだけ持つと、ビューティ道場を出た。


 中にいたら平野井さんに話しかけられてしまったり、ほかのカリスマさんに何かがあったことを気づかれてしまったりするかもしれない。


 時刻は午後9時を少し回っていた。女性がひとりで歩いていても、まだ危なくはない。もう少しどこかで時間を潰して、みんなが寝る支度を始める頃に帰ろう。


 どこに行こうか。住宅街をあてもなくとぼとぼ歩く。


帰宅する人々とときどきすれ違った。この人たちには暖かい家での安堵の時間が待っているのに、私は……と考えると、少しだけ泣きたくなった。


 十分ほど経った頃だろうか。前のほうに見知った顔が現れた。


 想子ちゃんだ。


「あれ、千織ちゃん」


 駅側から来たところ、大きなカバンを持っているところからすると、打ち合わせにでも出ていたのだろう。


「どうしたの?」


 彼女は怪訝そうな顔をする。


「べ、別に……」


 受け流そうとして、表情が歪んでしまったことが自分でわかった。


 あぁ、まただ。頭も体も、願うほどには器用に動いてくれない。


「何かあった?」


 想子ちゃんは私がおかしいことをすぐに察した。




2016.4.12 up 「不器用な私には」



挿絵

「何でもないの」


 何とかそれだけ絞り出す。


「何かあったのなら、話を聞くけ……」


「ごめん」


 分厚い刃みたいな声で、優しい声を遮った。本当はもっとうまく断りたいのに、どうして無駄に力が入ってしまうのだろう。


「ごめんね。私、今、一人になりたいの」


 話を聞いてもらいたい気持ちは多少はあるけれど、もしかしたら平野井さんも巻き込んでしまうかもしれないと考えると、積極的にはなれなかった。


 想子ちゃんはそれ以上追及しなかった。


「わかった。じゃあ、あまり遅くならないようにしてね。何かあったらいつでも連絡して」


「うん、ありがとう」


 想子ちゃんと別れた私は、そのまま近くのファミレスに行って時間が過ぎるのを待った。


 11時を回った頃、席を立った。そろそろ帰っても大丈夫だろう。


 お会計を済ませて店を出て、人気がなくなった道を注意しながら歩く。


(ん?)


 ビューティ道場が見えてすぐ、足を止めた。


 誰かが塀の外からビューティ道場を覗こうとしている。


 背格好からして女性だろう。夜だというのに、キャスケットを深くかぶっていた。想子ちゃんではないようだ。大体、想子ちゃんがそんなことをする理由はない。


「あの……どうしたんですか?」


 とくに深く考えず、話しかけた。


「きゃっ!!」


 突然後ろから話しかけられた女性は、小さな悲鳴をあげた。


「うちに何か?」


「…………っ!!」


 帽子のせいで顔だちまではわからなかったが、狼狽しているのは伝わってくる。


 次の瞬間、彼女はその場から走り出した。


 我ながら呆れたことに、「あの人、ひょっとしてストーカーだったのでは」という考えが浮かんだのは、彼女が逃げ出して数秒経った後だった。


慌てて追いかけたが、さすがに手遅れだった。


 だいぶ離れたところまで探したが、暗い住宅街のどこにも彼女らしい姿は見当たらなかった。


(そろそろ帰ろう)


 スマホの時計を確認すると、11時半を過ぎている。明日も仕事なのだから、いい加減にしなければ。


 そのとき、よく知る声が耳に届いた。


「千織ちゃん」




2016.4.13 up 「この思いは封印します」



走る

 振り向くと、平野井さんが立っていた。心配と安堵が入り混じった顔をしている。


 私がなかなか帰ってこないから探しに来てくれたのだと、すぐにわかった。


「あの……」


「さっきのこと、気にしないようにするから」


 私が何か言おうとするよりも早く、平野井さんはきっぱりと言い放った。


「ごめん、追い詰めてしまったみたいで」


「そんなこと、ないです!」


 慌てて否定した。これは偶然のなりゆきで、平野井さんに非はない。非があるとしたら突然家を飛び出した上、遅くなっても帰らずに心配をかけた私のほうだ。


 私を待つ間、平野井さんは何を思っていただろう。探しながら、何を考えていただろう。


 私は、自分の苦しみにしか目を向けていなかった。


 ふいに、覚悟が決まった。


 この問題を長引かせたら、平野井さんをもっと不安にさせてしまうかもしれない。


 否定も言い訳もせず、気持ちをきちんと伝えよう。不器用な私には、それしかない。


「突然飛び出してしまって、すみませんでした」


 私はまずそのことを謝った。


「自分の気持ちを誤解されたくなくて、つい言ってしまったんです。でも、今はその気持ちに溺れるつもりはありません。掟のことも、それができた理由も教えてもらいました。だからこそ、皆さんを裏切りたくない」


 いったん覚悟を決めると、意外なほど緊張せずに言葉が出てきた。


「私、絶対に卒業して見せます。今は自分磨きを生活の中心にして、やるべきことを前向きに頑張ります。平野井さんのおかげでわかった理想の体型を、もっと、ちゃんと自分のものにします。メイクもおしゃれも、料理も、性格や考え方ももっともっと自信を持てる自分になります。それを、見届けてもらえないでしょうか」


 最初は、恋をしたことに対して罪悪感と不安しかなかった。


 でも今、こうやって気持ちと決意を自分の言葉で伝えているうちに、平野井さんに恋ができてよかったと思えてきた。


 いつの間にか、私は胸を張っていた。


 私は恋をしたことで、少しずつ強くなれているのかもしれない。


「だから、さっきのことは聞かなかったことにして下さい。今はまだ、そのときではないんです。卒業するときに改めてきちんと伝えたいから……今は、この思いは封印します。今後ともご指導よろしくお願いします」


 最後に私は深々と頭を下げた。


 たっぷり五秒は数えて顔を上げると、こちらをじっと見つめる平野井さんと目が合った。


 私たちはしばらく無言でお互いを見つめ合った。


 急に平野井さんが動いた。


 次の瞬間には、抱きしめられていた。


 強く体を包まれて、息が詰まる。甘美な苦しみだった。


「ごめん……」


 呻くような声が、振動を伴って伝わってきた。


「ごめん。覚悟してくれたばかりなのに、こんなことして。俺のほうがよっぽどダメな奴だ。でも、でも……今だけ……少しだけ……」


 腕の中で、私は直立していた。本当は縋りつきたかった。


平野井は言葉の通り、私をすぐに離した。


やや上気した顔で、こちらを覗き込む。


「卒業できるように頑張ろう。俺も精一杯、協力する」


「もちろん、頑張ります」


 私は力強くうなずいた。




2016.4.14 up 「理性が飛んでいきそうになる」



走る

 あれから一週間――


 俺、平野井大樹と千織ちゃんは、何事もなかったかのようにそれまでと変わらない日々を過ごしていた。


 あの日の帰り道、千織ちゃんは、ホテルのバーで会っていたのは以前好きだった同僚だったのだと教えてくれた。告白されたものの、返事はしなかったという。


さらに翌日の夜には、その日の会社の昼休みに告白をきっぱり断ったと報せてくれた。


(ずるいなぁ)


 内心、そう思った。


 千織ちゃんからすれば決意表明のようなものですっきりしただろうが、こっちは愛しさがどんどん増してきてしまう。


 いつも通りの日々を平然と送るふりをしながら、ともすれば、あのときのキスの感触がよみがえってきた。


(すっごくいい匂いだったよなぁ。柔らかかったし……あれ、ヌレヌレっていうリップグロスのせいなのかな)


 放っておくと妄想は加速して、あのまま抱き寄せてもっとちゃんと唇を味わって……なんて考えてしまうことも多かった。


 一緒にトレーニングをしているときは逆に気を張っているから大丈夫なのだが、一人でいるときがとくにヤバい。


 俺は「ギャップ萌え」だという自覚がある。顔や体型、性格に対してとくに特定の好みがあるわけではないが、それらの組み合わせのバランスにギャップがあると、途端に魅力を感じてしまう。


 千織ちゃんが気になり始めたのも、頑固でしっかりしている女の子が、リビドー ロゼという香水のせいもあってか、あるとき妙に色っぽく感じられたからだ。


今また、その性格と唇の柔らかさのギャップに悶々としている。


 少し気を抜くと、千織ちゃんの唇を目で追ってしまっている自分がいた。


(晴れて千織ちゃんが卒業して、付き合えることになったら……俺は)


 すごい勢いで、千織ちゃんの体を求めてしまいそうだ。


 体だけが好きなのではもちろんないが、俺だって健全な男子である。おあずけを食らい続けていれば、溜まるものは溜まる。


(まずはキスをして、首筋から胸をゆっくり指と唇で愛撫して……乳首が硬くなってきたら少し焦らして……いやいやいや、ダメでしょ、俺)


 今はトレーニングで彼女の体に触れるとき、ヤラしい気分にならないようにすることで精一杯だ。当たり前だが、こんなことは普通の女性相手にはあり得ない。千織ちゃんだから……好きな相手だから仕方がないのだ。


筋肉とほどよい脂肪のバランスに、理性が飛んでいきそうになるのを必死で抑える。彼女の息遣いが荒くなるたびに、すぐにでも押し倒したくなる。


 なまじエクササイズ・インストラクターなんてことをやっていると、体を見ればそれがどんな癖を持って動くか想像がついてしまうのもいけない。


  ベッドの上ではきっとあんなふうに……とか、いやいやいや、ホント、ダメだってば、俺。


 千織ちゃんが一日も早く卒業することは、俺の悲願でもあった。




2016.4.15 up 「明らかな悪意」



 しばらくは平和で穏やかな日々が続いていた。


 だが……


「あとで俺の部屋に来てくれないかな」


 私はある日の夕食の後、コミュニケーション・アドバイザーの篠村敦さんにそっと耳打ちされた。


 ほかの人にいえない何かがある、と直感したが、そのときはまだどれほど重大なことかわかっていなかった。


 篠村さんの部屋に行くと、平野井さんが先に来ていた。


 このときになって初めて、私は焦った。きっと私の思いが、バレたか、気づかれたか、したのだ。


 私たちは床に車座になって座った。


「これが今日、郵便受けに入っていたんだ」


 篠村さんは一枚の封筒を私たちの前に差し出した。


 宛名も差出人も書かれていない。これが郵便受けに入っていたということは、直接入れたということだ。


「中を見てもいいのか」


「もちろんだ」


 そこから出てきたものを見て、私と平野井さんは揃って息をのんだ。


 あの日の夜、ほんの短いあいだ抱き合っていた私たち姿が映っていた。顔ははっきりとはわからなかったが、服は私たちがしょっちゅう着ているものだったから、言い逃れはできなかった。


 どこかから、誰かに撮られていたのだ。「犯人」はわざわざそれをプリントアウトして、わざわざ郵便受けに入れた。


「これは、いったい……」


挿絵

 声が震える。


「写真自体の出どころや誰がやったのかは後で調べる。だがまずは、この状況について説明してほしい」


 私たちは黙っていた。言葉を慎重に選ばなければいけない。不用意なことは言えない。平野井さんもきっと同じ気持ちだっただろう。

「じつは、少し前からお前たちは怪しいと思っていたんだ。図らずもそれが証明されてしまった」


 唐突に、平野井さんが姿勢を整えた。


「すまなかった。俺が全部悪いんだ」


 それは、彼がすべて認めたことにほかならなかった。


 篠村さんが眉をしかめる。


 平野井さんがちらりとこちらを見た。話してもいいか、とその目が訊いている。私はうなずいた。こうなったらもう、逃げ隠れするのはやめよう。少なくとも平野井さんはそのつもりだ。


 ハプニングでキスをしてしまったことをきっかけに、私が気持ちを打ち明けてしまったものの、掟に従って卒業までは恋愛関係にはならないでいようと誓い合ったことを、平野井さんは説明した。


「この写真のようなことは、千織ちゃんが卒業するまで二度としない。約束する」


 土下座しそうな勢いだった。


「それでももし許してもらえないのなら……俺のほうが出ていく」


「……わかった」


 だいぶ間を空けた後に、篠村さんは重々しくうなずいた。


「そこまでいうなら、今回だけは多めに見る」


 私たちは、許されたのだった。


 私たちが悪いのは百も承知だ。でもそれはそれとして、こんな写真を撮られるのは気味が悪かった。


 明らかな悪意のある、写真と行動。


 あの日会ったストーカーがやったのに違いないと、私は思った。彼女は何らかのきっかけで掟を知る機会があって、自分は追い出された腹いせに、それを利用しようとしたというのは十分考えられる。


(ストーカーを捕まえるんだ)


 悪意のある人間に、これ以上家のまわりをうろうろされたくない。警察沙汰にはできなかったとしても、少なくとも、不快なのだということははっきり伝えたい。


 私はまずは想子ちゃんに声を掛けた。平和主義者な想子ちゃんは私の「捕まえる」という意気込みには賛成しなかったものの、ストーカーの標的であるメイクアップ・アーティストの有本悠さんが心配だという思いから、何か警察に訴えられるような証拠を掴めるなら……と協力を約束してくれた。


 平野井さんも、護衛代わりについてきてくれることになった。


「私と平野井さんが一緒だときっと怪しまれるし、二手に分かれるときには二人ずつのほうが行動もしやすいし、もう一人別のカリスマさんの力も借りましょう」


 私たちは話し合ってそう決めた。


 

 でも、このときの私たちには、まだ想像もついていなかった。


まさかあのカリスマさんが、ストーカーとつながっていたなんて……



シーズン1終了

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