
ラブコスメ×平泉春奈さん
「女子コン」コラボ作品!
彼がコンドームを持っていなかった…。
彼が避妊してくれない…。
こういうお悩みをラブコスメのお客様からいただくことがあります。でも、コンドームを使うことや避妊は、あくまでも男性主導によるものなのでしょうか。
今回は平泉春奈さんにそんなことをテーマにした作品を描いていただきました!

これは5歳年上の彼女と、初めてセックスをした日の話だ。
男の俺が言葉にするのはなんとも恥ずかしいような話なのだが、彼女に対する尊敬とあの日を境に更に増幅した溢れるほどの愛を何かの形で残しておきたいと思ったので、こうして記すことにする。
まだ少し寒さの残る4月の終わりだった。
彼女と飲みに行った帰り、なんだかお互い楽しくなって勢いで彼女の部屋に来た。
その瞬間はまだ俺と彼女は恋人同士ではなかった。
だからまさかこの日、彼女とそういうことになるなんて夢にも思わなかった。
俺はずっと、彼女の気持ちが知りたかった。
もしかしたら彼女も俺のことを……という淡い期待をずっと持ち続けてきた。
だからなのかもしれない。
彼女の部屋に来た瞬間にそれが小さな確信に近づいて、いつもかけていたブレーキをほんの少し緩ませた。
お酒の力もあったのだろう。
彼女への想いが、想像のはるか先を超えた"涙"という形で溢れ出した。

心臓がバクバク鳴っていた。ドキドキしながら彼女の目を見た。透き通るような美しい瞳は優しい照明の光が反射して小さく揺れていた。
もう何も考えられなくなった。
俺はグイっと彼女を引き寄せて、強く唇を吸った。
“女の人は軽いキスから少しずつ深いキスにしていくと喜ぶ"
いつだったか深夜番組でコメンテーターがそんなことを言っていた気がするけど、そんな焦らすような余裕のあるキスなんて、できるはずもなかった。
俺は必死に彼女の舌に自分の舌を絡めて、彼女の口内から伝わる熱で彼女の気持ちを探った。
「はあ……あっ……んん」
彼女は息を荒げながら甘い声を漏らした。聞いたこともないような女過ぎるその声に、制御できないほどの興奮を覚えた。
彼女をベッドに押し倒し、剥ぎ取るように服を脱がせていく。彼女の素肌が露わになっていくにつれて、緊張が増してくる。

俺は吸い付くような柔らかい乳房を揉みながら固くなったその先端をじっくり舐め回し、甘噛みした。
彼女は高い声を上げた。それが悦びの声だというのはすぐに分かったので、少し痛みを感じるか感じないか位の強さでその部分を責め続けた。
彼女の息遣いはどんどんと荒くなっていく。たまに身をよじりながら、それでも抗うことなく俺の1つ1つの行動を受け入れていく。
俺は舌先を彼女の下半身に滑らせていく。それと同時にスカートに手を差し入れて、ショーツ越しに彼女の大切な場所を指先で撫でた。
スベスベした薄い生地は徐々に熱を持って湿っていく。
彼女の可愛い反応に、急激に気持ちが高ぶっていった。直接指で固くなったクリトリスを撫でて、湿った膣の中に指をゆっくり挿入する。
彼女の中は、想像以上に熱かった。掻き回すとグチャグチャと生々しい音が室内に響き渡り、どんどん愛液が溢れてきた。
「あ……やっ……気持ちいいっ……」
彼女は苦しそうな顔をして喘いだと思ったら、身体を強く痙攣させた。その瞳からはうっすら涙が流れる。それを見て、泣きたくなるくらいの喜びを感じた。
気付けば俺の下半身は痛みを伴うほど窮屈になっていた。無言でベルトを外し、ズボンを脱いで楽になった瞬間、俺は決定的なミスに気づいた。
コンドーム……持ってきてない。
何度も言うが、彼女とこんなことになるなんて夢にも思ってなかった。
だからコンドームを用意するなんていうことは頭の片隅にすら置いてなかった。突然動きが止まった俺に対して、彼女は不振な顔をして起き上がる。

学生の頃初めてできた彼女とは、頻繁にセックスもした。
いつだってコンドームは俺が用意するものだった。それは俺自身、男として当然の事だと思っていた。
でもある日、うっかり買い忘れていたのについそういう雰囲気になり、盛り上がってしまった。どこかで「きっと大丈夫」と高を括っていたのだろう。俺は彼女が不安な顔をしていたのを無視して勢いのままコンドームを付けず挿入しようとした。
その瞬間頬を叩かれた。ハッとして見ると、彼女は泣いていた。
「ゴムも持たないでエッチしようとするんだね……なんか、見損なった」
その一言は、その後の俺を苦しめ続けた。
叩かれた頬よりも、胸の奥の方がずっと痛かった。結局彼女とはそれっきり、別れることになった。
あの日以来俺は、彼女ができたらいつだってコンドームを持ち歩いた。
いつ何があっても大丈夫なように。好きな子を傷つけないように。男として恥をかかないように。
それなのに……情けない。
暫く黙って俯いている俺を彼女はギュっと抱き寄せた。そして、耳元で囁いた。

「あはは!なんて顔してるの?」
「や、でも、女の人がそれを持ってるのがなんだか不思議で……」
「そうかな?これってさ、男も女も持っているべきものだと私は思うよ?自分の身体を守れるのは自分だけだもん。何かあったら責任取るのもお互い様。誰かを大切にしたいと思ったら、同じだけ自分のことも大切にしてあげなきゃね。」
目から鱗だった。
そうか……コンドームは男だけが持つべきという考えは、逆にすごく自分本位だったんじゃないだろうか。
彼女は、想像以上に精神的に自立していた。男とか女とかそういう単純な見方じゃなくて、人間と言う大きな目線で人を見ている。
そして同じように自分自身も客観的に見れていて、一つ一つの行動に確固たる自信があった。その自信は全てのことから逃げずに向き合ってきた結果にあるものだ。
そんな彼女の人間としての強さに俺は知らず知らず尊敬し惹かれていたのだと、今更ながら気付いてしまった。
俺を縛り続けていた凝り固まった重りがスッと消えていき、心が軽くなっていく。
「俺……あなたのことが大好きです」
思わず涙が溢れる。人を愛すると自然と涙が出るんだと思った。
彼女はまた俺を優しく抱きしめて、まるで子供にするように俺の頭を撫でた。

彼女はコンドームの封を開けて、それを恥ずかしげもなく俺のものにゆっくりと被せた。
こんなことしてもらうのも初めてだったので、胸がキュンとした。
「入れていいですか?」
「うん……早くきて」
ゆっくり彼女の中に入っていく。1つになった瞬間、やっと彼女と繋がれたのだという悦びで震えた。
彼女は自身の快楽に素直に従っていた。気持ちいい時はとても気持ち良さそうに喘いで、自らも積極的に動いた。
彼女の全てが美しく、愛おしく、ただただ幸せだった。
夢なら覚めないで欲しいと思った。でもきっとそんなこと言ったら彼女はこう言うだろう。
「こんな最高な夜を夢で見る位なら、私は現実世界でちゃんと果たすわ。自分の意思でね」
そんな妄想が膨らみ、口元が小さく緩んだ。
あの日、彼女と初めてセックスをした日。
俺の世界は大きく変わった。
彼女が変えてくれた。
彼女に出会えたから今の俺があるのだと、一縷の迷いもなく言える。
"彼女に負けない男になりたい"
彼女と過ごしながら今この瞬間も、そう感じている。
Fin.
