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おでん
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2016.1/25 up 「褒められるのは、いちばんの原動力」


走る

福生さんに意見したのは平野井さんだった。


「厳しいことばかり言っていたらそれこそやる気をなくす。ちゃんと褒めてあげるとやる気が増すと思うんだけどな」


 

福生さんは冷たい目で平野井さんを見返す。平野井さんも福生さんを睨んだ。


「ジョギングってさ、やってみればわかるけどそれほど楽じゃないよ。一日頑張るだけでもすごいのに、それを二週間も続けてるなんてもっとすごいことで、褒めるに値するよ」


「そんなに褒め言葉の大安売りをしていいのか。いつか本当に必要なときに役に立たなくなるぞ」


「ご心配なく。むしろ今がいちばん必要なときだと思っているんだ。こういうことって習慣にするまでが大変だからね。誰かに褒められるのは、いちばんの原動力だからな」


 

両者、譲らない。


(これは……一触即発という状態では……)


 

私のほうが焦ってしまう。福生さんに言い返してくれたのはうれしいけれど、それでケンカになってはたまらない。


 

だが、平野井さんはいきなりニカっと歯を見せて笑った。


「理屈では正光さんのやり方もアリなのかもしれない。だから否定はしないよ。でも俺は今まで何人ものトレーナーをしてきて、このやり方が効き目があるってわかってるんだ。精神的にも、身体的にもね」


 

にこやかな顔のまま、ぐさりと言う。要するに平野井さんは、専門外の人間は黙っていろと遠まわしに伝えているのだ。よくよく見れば目は笑っていない。


 

うーん、この間も思ったけれど、平野井さんって意外と論理的に話を展開するところがある。やっぱりただの明るいお兄さんではないみたいだ。


 

ジョギングを二週間続けてわかったけれど、エクササイズというのはただやみくもに続ければいいものじゃない。精神状態をもひとつのデータとして捉えて、それがほかの足を引っ張らないように緻密に全体の計画を組み立てていくのが必要だ。イケイケなだけではやっていけないところもあるとは薄々感じていた。


 

あの福生さんが、複雑そうな表情になっている。


 

彼は息を吸って何か言い返そうとした。


そこへ今度は小島さんが割って入った。


「正光、それくらいにしておけば?」




2016.1/26 up 「もっと知りたい」



小島さんは言った。

「お前、もう少し大人になったらどうだ? 千織さんが綺麗になりたいって頑張っているのにその言い方はあんまりだよ。もし千織さんがもっと厳しいことに直面したら、そのときは叱咤激励して、みんなで支えればいいじゃないか。ひとつ屋根の下で暮らしているんだし、協力しようよ」


 

穏やかな口調だった。だからこそ、言葉が染み入るように心の中に入ってくる。


 

福生さんも黙ってしまったところを見ると、同じように感じているようだった。


 

しんとしてしまった空間を元に戻そうとするかのように、小島さんは少し冗談めかした。


「何ごともチームワークだよ。チームワークの良さは幸福度に直結するって敦も言っていたぞ」


 

うん、確かにコミュニケーション・アドバイザーの篠村敦さんなら言いそうだ。


 

福生さんはもう食い下がろうとはしなかった。


 

舌打ちをして、立ち上がる。この場を去ろうとしていた。


「福生さん」


 

私は思わず彼を呼びとめた。


 

べつに追い打ちをかけたかったわけじゃない。


どうしても覚えておいてほしいことがあった。


「私、この先も絶対にずっと運動を続けます。そうしたら『たかだか二週間』じゃなくなりますよね。認めてもらえますよね。少しの運動でも毎日継続するのが大事だと思うんです」


 

福生さんはもう一度大きく舌打ちをした。


その音に紛らわせるように、私にだけ聞こえるように呟く。


「今だって、努力しているのは認めている」


 

驚いた。福生さんが口にするとは思えない内容だった。


 

そのまま福生さんはリビングを出ていった。


 

後には私と平野井さん、小島さん、料理研究家の池部さんが残った。


 

場の空気は完全に沈んでいる。


 

最初に言葉を発したのは小島さんだった。


「あいつ……昔、いろいろあってな。少しひねてくれているが、根は悪い奴じゃないんだ。許してやってくれ」


 

なぜ小島さんが謝るのかわからないが、私は「いいんです」と首を横に振った。


「福生さんの言うことも一理あると思います。おかげで気持ちが引き締まりました」


 

べつにいい子ぶったわけじゃない。少し落ち着いてみると、確かにああいう厳しい目線も必要なのではと思えた。


 

が、平野井さんはそうではなかったようだ。


「悪い奴じゃなかったら何を言ってもいいっていうのかよ! あー、むかつく!」


 

冗談っぽい口調と仕草だが、怒りが滲み出ているのがわかる。平野井さんと福生さんが犬猿の仲というのは本当なのだろう。


意外に理屈でものを考える平野井さんだから、福生さんが理想論だけで話を進めるのに――しかもそれが自分の専門分野ならなおさら、いらつくのかもしれない。


 

その日は結局、そう遅くならないうちにみんな自分の部屋に戻った。


 

ベッドに入っても、さっきの映像が頭の中でリピートして眠れなかった。


 

平野井さんのことをこれまで以上に見直したし、福生さんをかばう小島さんのこともますます気になった。二週間しか一緒に暮らしていないのだから当たり前だけれど、二人ともまだまだ私の知らないいろんな面を持っているのだろう。


 

もちろん、福生さんも。


(あそこまで性格がひねくれるほどの「昔、いろいろあっ」たことって、何だろう)


 

単純な好奇心ではあるが、福生さんのことももっと知りたいと思った。




2016.1/27 up 「うれしい、楽しい気分がなきゃね」



  

福生さんとの一件があってからも、私と平野井さんの運動は変わらず続いた。


「正光さんのことは気にしないで、今できることを自分のペースでがんばればいい。大丈夫、キミなら絶対に結果を出してきれいになれるよ。俺には何でも相談して」


 

平野井さんの励ましを聞いていると、その未来は間違いなくそこにあるものだから前に向かっていけばいいんだと思えてくる。


「はいっ!」


 

いつか手に入れられるはずのその姿を想像しながら、私も返事に力を込めた。


 

でも、私にはもうひとつ手に入れたいものがあった。


 

福生さんの過去への興味が、不思議なことに消えない。


 

自分でもあまり趣味のいいことではないと思うけれど、なぜか気になって仕方がないのだ。今までの人生ではあまり出会わなかった強烈なタイプだからかもしれない。


 

努力して結果を出したら、福生さんの私を見る目が変わるのではないか。


 

そうしたら、過去に少し近づくこともできるのではないか。


 

そんなふうにぼんやり考えていた。


 

池部さんも相変わらず応援してくれた。


「僕も千織さんには結果を出してほしいんだ。きれいになってほしいというのももちろんあるし、千織さんが今、結果を出せば、正光さんも考え方が変わるんじゃないかなと思って……さ」


 

二人でリビングにいるときに、池部さんはこっそり、ビューティ道場に以前住んでいたほかの女性たちのことを教えてくれた。


彼女たちは福生さんの毒舌に傷ついて出ていってしまったり、逆に対立したり、あるいは完全に避けて暮らすようになったりしたそうだ。


「僕には、そういったことを正光さんが望んでいたとはどうしても思えないんだ」


「…………」


 

長い睫毛を伏せて黙ってしまった池部さんを前に、私は何も言えなくなる。


 

私も福生さんが根っからの悪い人だとは思っていない。でもいい人だとは少なくとも今は思えないし、何と返したらいいかわからなかった。


「ごめんね、しんみりしちゃったね。本題に入ろう」


 

池部さんは暗さを振るい落とすように笑うと、立ち上がって、冷蔵庫から白いプリンのようなものを出してきた。


「本題?」


「この間、『どうしても甘いものが食べたくてたまらなくなるものがある』って言っていたから、つくってみたんだ」


「何ですか? これ」


「ミルク寒天だよ。これをかければさらにおいしくなって、腹持ちもよくなる」


 

池部さんは棚からきなこを出してかけてくれた。クズキナコという、ダイエットをサポートするきなこだそうだ。


「がんばってるご褒美だよ。どうぞ」


 

薦められるままに一口食べてみると、ミルクのコクときなこのコクのハーモニーが絶妙で、顔がにやけてしまいそうなぐらいおいしかった。


「おいしい!」


 

思わず声に出してしまう。


「がんばったら、またつくってあげる」


「本当に? だったらこれを楽しみにがんばれるかも」


「うん。うれしい、楽しい気分がなきゃね」


 

池部さんは私の頭をぽんぽんと撫でてくれる。


(あ、池部さんって私より年下だっけ……)


 

気づいたのは食べ終わった後だった。


スタイリストの松垣洸太さんも、私を応援してくれた一人だ。


「痩せて見える服を着るのも大事なんだよ。脳が『自分は痩せてるんだ』ってだまされるから。脳が思い込むと、行動が変わるっていわれてる」


 

そう言って、服を見立ててくれた。


ウェストの切り替えが高いワンピース、襟まわりに少しボリュームのあるジャケット、細ボーダー柄のVネックカットソー、濃い目の色のレギンスなど、買えるものから少しずつ揃えていく。


そういったものを着て鏡の前に立つと、確かにもともと自分はそんな人間だったような気がしてきた。


こうしてダイエットは順調に進んでいった。


だけど、あるとき――




2016.1/28 up 「私自身を信じてがんばらなきゃ」



 

ついに停滞期がやってきた。


 

停滞期のことは、平野井さんから聞いていた。


 

体が小食や運動に慣れてしまって、これまでと同じことをしてもなかなか体重が落ちなくなる。反面、少し食べ過ぎただけでも太ってしまう。


 

いつかは来るとわかっていたけれど、ショックだった。それまでが順調だったからなおさらだ。


「痩せたいんだったら、いや、元に戻りたくないんだったら、この状態を受け入れなければいけない」


平野井さんは言い聞かせるみたいに優しい声を出す。でも内容は残酷だった。


「これからはずっとこの状態が続くよ。痩せるとしても、以前ほどするすると体重が落ちることはない。でもこれが普通なんだ。むしろ今までが特殊だったんだよ」


 

投げ出したい気分にもなったが、そういうわけにもいかない。私はもう、周囲を巻き込んでしまったのだ。今さら張本人の自分がいち抜けなんてできるわけがない。


みんなが励ましてくれたり、真剣に指導してくれたりした。裏切れるわけがない。


だいたい、痩せてきれいになると決めたのは私自身だ。今、私が私自身を信じてがんばらなきゃ、これからずっと、何に対してもがんばれなくなる気がする。


 

それからやっぱり……福生さんのことも知りたかった。


 

平野井さんは毎日の運動の内容を変えてくれた。ジョギングの距離を減らして、筋トレの量を多くする。筋肉がつきすぎてしまわないか心配だったが、軽い負荷で回数をこなす分には大丈夫だそうだった。贅肉が落ちるだけだという。


 

が、あまり効果はなかった。そもそもこれは効果を出そうというよりは、「続ける上で飽きないようにする」というのが目的のようだった。


 

食欲との戦いもつらかった。


 

効果が出ないとなるとイライラして、余計に甘いものが食べたくなる。


(好きなものを好きなだけ、おなかいっぱい食べたい……)


 

その欲求はあまりにも強くて、夢にまで見るほどたった。


 

そんなときに助けてくれたのは、池部さんの低いカロリーお菓子だった。


「寒天を使ったお菓子がおすすめだよ。食物繊維も豊富だしね」


 

この間のミルクきなこ寒天のほか、ドライフルーツを流し込んだフルーツゼリーもつくってくれた。それにほんの少しだけハチミツやメイプルシロップをかける。これでビタミンやミネラルも摂れる。


「食欲は無理に押さえると必ず反発する。それよりは自分の中で食べていいものを決めておいて、それをきちんと食べるんだ」


 

きれいなお皿にきちんと盛ってくれるのもうれしかった。


 

それを食べる自分もきれいな人にならなくてはいけない気がして、少しの量でも満足できた。


 

ある夜のことだった。


「ちょっといいかな」


 

私の部屋に、平野井さんが訪れた。


「これ、千織ちゃんにあげるよ」


 

彼が渡してきたのは……




2016.1/29 up 「少しずつ前向きになってきた」



平野井さんがくれたのは、リップグロスと香水だった。


「どうしてこれを?」


 

プレゼントをくれるというのはもちろんうれしいけれど、もらう理由がない。


「最近、ちょっとイライラしてるだろ?」


挿絵

 

 

平野井さんはウィンクをしてみせる。べつに隠していたことでもないので、こくんとうなずいた。


「いい香りはイライラした気分や食欲を紛らわすのに最適なんだ。普段からつけていられるコスメなら実感も継続する」


 

ちょっと香りを嗅いでみて、といわれるままに試してみると、どちらもローズのいい匂いがした。


「本当だ、すごくいい香り……」


「悠に頼んでおいたんだ。ローズの香りのコスメを用意しておいてほしいって」


 

パッケージを見ると、リップグロスは「ヌレヌレ ゴージャスキッス」、香水のは「リビドー ロゼ」という名前だった。なんだかどちらも名前からして赤いバラの花びらが周囲に舞っていそうな感じだ。


 

だが、私はこのときはまだ知らなかった。


 

この二つの商品にどんな意味があるのかを。


 

そしてそれを有本さんが平野井さんに「あとで伝える」と言ったにもかかわらず、二人の仕事でそのタイミングがずれてしまい、待ちきれなくなった平野井さんが私に渡してしまったということを。


 

まさか……


まさか、男の人を少しずつ惹きつけるコスメだったなんて――。


 

ヌレヌレは昼間はグロスとして、夜は美容液としても使えるすぐれものだった。夜塗って寝ると、朝、唇がぷるぷるになっているのがダイエット関係なくうれしい。


 

夜寝る前に塗ると、ゆったりとした気持ちになれた。


 

ものすごーく潤うので、ためしに乾燥している爪に塗ってみたら爪用のパックにもなってしまった。指先からいい香りが漂ってくる。


リビトーは昼間はほのかに香らせるほか、寝る前に枕にひと吹きすると、優しい香りに包まれて眠ることができた。髪にほんの少し吹きかけるのもお気に入りだ。


 

それにしても、ローズの香りって偉大だ。さすが花の女王というだけある。ローズの香りを身にまとい、常に嗅いでいると、「この香りに見合う女性にならないと」と思えてくる。


(ローズの香りの似合う人は、ダイエットでイライラしたりなんかしないはず)


 

気持ちが少しずつ前向きになってきた。


 

ある夜のことだった。


いつものようにヌレヌレを唇に塗り、リビドーを髪にひと吹きした私は、ベッドに入る前に一階のリビングに忘れ物をしたのを思い出した。私宛に届いていた郵便物だ。


取りに行くのは面倒だったが、共用部分にいつまでも私物を置いていくわけにはいかない。


仕方なく部屋を出た。


夜遅いので、あたりにはもう誰もいない。……と思っていた。


「その人」は一人でリビングに残っていた。


さっき帰ってきて、お茶か何か飲んでいたようだ。


挨拶をして郵便物を取り、部屋に戻ろうとすると、彼は私を引きとめた。


ヌレヌレを塗ったばかりの私の唇をじっと見つめている。頬が心なしか赤い。


「……なんか、改めて見ると……きれいになった……かも」


「その人」というのは……






シーズン1終了

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