
ラブコスメ×平泉春奈さんコラボ企画
第一部「愛の呪縛と光」

「もっと自分自身を解放して、熱く感じあってみたい…でも、
それって自分から望んでもいいことなの…?」
今回は、そんな悩みを持つある女性のお話を、
人気イラストレーターの平泉春奈さんに描いていただきました!
主人公の梓(あずさ)が、パートナー隆(たかし)との出会いによって、
どのように変わっていくのか…?ぜひ最後までご覧下さい。

「セックスは本来、子供をつくるための行為なの。
軽々しく行うのはとても恥ずかしい事なのよ」。
それは小学5年生の頃、母親に言われた言葉だった。
その日私は、母と一緒にテレビ放映されていた外国の映画を観ていた。
男女が裸で絡むシーンが映し出された瞬間凄い勢いで画面を消され、
「こういうのは観ちゃダメよ」と言われた。
学校で自然と知ったセックスという言葉。男と女は愛し合うとセックスをするのだと思っていた私は、なんで観ちゃいけないのか不思議だった。
おそるおそる母にその気持ちを伝えたら、
母はどこか冷たい目をして私にそう言ったのだ。
いつもの優しい母が突然知らない大人に見えて怖くなった。
でもその後、母はまるで自身の過去を振り返るかのように、
どこか遠い目をして、突然私をギュっと抱きしめた。
母の身体から伝わったのは、私への深い愛と、
正体不明の小さな恐怖心だった。
「ん……隆……」
隆の熱い舌先が私の口内をじっくり探索していく。臆病な私を優しく包み込むようなキス。

隆とのセックスに拭いきれない罪悪感が生まれてしまう事が。
母はあの日を境に、
私から「性的なもの」をどんどん遠ざけるようになった。
年頃になって恋愛をするようになってからは、何かにつけて洗脳のように「セックスは恥ずかしいことだ」と刷り込むようになった。
刷り込みはやがて根深い呪縛となり、
私とセックスの間に大きな溝を作っていく。
初めての彼氏とは、そういう行為を全力で避けた結果、付き合って3ヶ月でフラれた。
次の彼氏の時は過去の失敗を踏まえて処女を卒業したが、どうしても身体が快楽を拒絶してしまう為、私が相手を奉仕する側に徹底した。
その結果、セックス行為に対してますますネガティブになっていった。
別れの原因はまたしてもセックスだった。
その後隆と出会い、私の中で何かが変わろうとしているのが分かった。
それはきっと、初めて心から愛せる人に出会えたからだ。
でも私の身体はやはり、その先へ行くことを拒否した。
泣きたくなった。
付き合って少し経ってから、私は隆に全てを話した。
母とのこと、性に対する気持ち……隆は黙って聞いてくれた。
そしてそのあと、優しく私を抱きしめて、
「少しずつ、一緒に乗り越えていこう」と言ってくれた。
隆の手が私のスカートの中に入り込んでくる。ああ……だめ……気付いたら隆の手を掴んでいた。

ゆっくりと、隆の下半身に手を下ろしていく。
ズボンの中で窮屈そうにしている固いものが指先に触れて、
キュゥッと愛しさが込み上げた。
ズボンのジッパーをゆっくり下ろそうとしたら、不意に隆が私に覆いかぶさり、さっきとは打って変わって激しく唇を重ねた。
私の舌を強く吸い上げて、
そのまま唇ごと咥え込むようにしてキスを繰り返す。
唾液が絡む音が響き渡り、混じり合ったそれは唇の端から一筋の線を描いて流れ落ちた。
苦しさのあまり、喉の奥からうめき声が漏れる。隆はほんの少し唇を離して、強く息を吐き出しながら一息に言葉を発した。
「梓、今から俺がすることを一切抵抗せずに、全部受け入れてほしい」
「え……?」

「隆、何するの?……やめて」
「俺は……梓のお母さんとの確執やトラウマも、
それが原因でこうなってしまったことも、
ちゃんと分かってるつもりだよ。
ただ俺は梓の事が好きだから、もっと気持ち良くなってほしいんだよ。
俺だけじゃなくて、一緒に……。だからごめん、少しだけ荒療治」
そう言いながら私のシャツのボタンを外していく。露わになった胸元からは、レースの下着が顔を出した。隆は心臓の鼓動で細かく上下するその両方の膨らみを愛おしそうに撫で回し、

儚い拒絶は甘い声に変換される。
隆の手は抵抗できずにもぞもぞ動く私の下半身に伸びてきた。
スカートの中に手を差し込み、下着越しに熱くなった中心部分を優しく撫で始めると、 今度は下着の中に直接その指先が入り込んだ。
すると突然妙な感覚が私を襲った。
指先から湿った液体が私のクリトリスに直接塗りこまれ、
じんわりその部分が熱を持ち始めた。
心拍数が早まり、口の中が一気に渇く。
何これ……だめ、ああでも、気持ちいい……
やがてその指先が膣の中にゆっくり入り込むと、熱が内側まで浸透してきて、快感が全身に広がった。
そのままじっくり中側を掻き回され続けると、内側から大きな快楽の波がジワジワと近づいてくるのが分かった。
脳は思考を停止させ、ただ本能に身を任せることしか許さない。
私は大きく喘いだ。生々しい淫らな声。
そんな自分の声に一層気持ちが高ぶる。
長い前戯だった。
身体はいつしか抵抗をやめて、次々に生まれる快楽に屈していた。
隆は幾度となく訪れたオーガズムの波により全身の力が抜けてしまった私の中に、容赦なく入って来た。
手首の拘束は解かれて、私達は一心不乱に抱き合った。
母の責めるような声が聞こえてくる。
「結婚するまでは、そんなことしちゃダメよ。梓は良い子だから、お母さんの言ってること、分かるわよね?」
首を仰け反らせながら喘ぐ私の耳元で、隆は囁く。
「梓、好きだよ」
汚れのない真っ直ぐな愛の言葉。それでも苦い記憶の扉から、
冷たいすきま風は止まない。
「……梓、なんでそんな子になっちゃったの?お母さん、悲しい……」
お母さん、ごめんなさい……目の奥が焼けるように熱くなる。
脳を侵す母の言葉を掻き消すように、隆の優しい声がかぶさる。
「愛してる……梓、愛してるよ」
隆、私もだよ。あなたを愛してる。
本当はあなたとずっとこうしたかった。
一緒に気持ち良くなって、一つに溶け合って、愛を確かめ合いたかった。
大好きな人とするセックスがこんなに幸せなものだったなんて……
自分が信じられないよ
バカだった。私、沢山時間を無駄にしちゃったね。
今更こんなことに気付くなんて……

迷いのない言葉。まるで正義のヒーローみたい……。
私は溢れる涙を隠すようにして隆に強くしがみついた。
私を長年縛り付けていた鎖は、ふわりと細かい塵になって砕け散っていく。
それは初めて、"母の娘である私"を超えた瞬間だった。
to be continued...第二部に続く