
ラブコスメ×平泉春奈さんコラボ企画
第二部「その光が導く未来のかたち」
※第二部はLINE限定コンテンツとして公開しておりましたが、この度多くのリクエストをいただき一般公開することになりました。

「もっと自分自身を解放して、熱く感じあってみたい…でも、
それって自分から望んでもいいことなの…?」
そんな悩みを持つある女性のお話を、
人気イラストレーターの平泉春奈さんに描いていただきました!
今回の第二部では、主人公の梓(あずさ)のパートナー、
隆(たかし)の視点で前作から十年後の二人の姿が描かれます。
二人はどのように変わっていたのか…?ぜひ最後までご覧下さい。

人はみんな人生のゴールをどこかに決めたがる。
時にはそれが好きな人との両想いだったり
時にはそれが仕事の成功だったり
時にはそれが結婚だったり。
そしてそのゴールに達すれば
自分は幸せになれるのだと勘違いする。

それは映画やドラマで言うハッピーエンドというやつだ。
物語ならそこで終わり、あとは幸せな未来を視聴者に委ねて幕を閉じる。
その後こんなことになってしまう未来なんて、想像するわけもなく。
「沙紀を預かるから、たまには2人で一泊の温泉旅行でも楽しんできなさいよ」
母がそう言って旅行券を2枚そっと渡してくれたのは、 梓とどこかギクシャクしていたのを感じ取ったからかもしれない。
母親というのはそういう時、妙に勘が鋭い。
一人娘の沙紀はもう小学3年生。梓と結婚して10年が経っていた。
結婚して暫くはまだまだ恋人の延長で、誰が見ても仲の良いカップルだったと思う。
変わっていったのは子供が生まれてからだ。梓は日に日に「女」から「母親」になっていった。
母との確執が強かった梓は、妊娠した瞬間から絶対に自分は母親のようにはならないと決意し、 必死に「良い母親」になろうとしていた。
娘の前で理想的な母親である為には、「女」である自分を殺さないといけなかったのかもしれない。
俺はそんな梓の気持ちに最初は寄り添っていたけど、触れることをだんだん拒まれるようになると、どこか心に隙間ができていき、寂しさを埋める為に仕事に没頭するようになった。
俺たちの間には、物理的にも心理的にも少しずつ距離が空いていった。
最後にセックスをしたのは……5年前だ。
あれも、子供のことを考えてしまう梓はどこか気が乗らなくて、結果的にはやっつけ仕事のようなセックスになってしまった。
あの頃のようには戻れない……もう無理なのか、遅いのか。 そう思っていた矢先に、この旅行の話。
何か見えない力が働き出して、これが最後のチャンスなのだと言われてる気がした。
梓は最初戸惑ったけど、2人で行く旅行を承諾してくれた。
梓と2人だけ。一体何年ぶりだろう。驚くほど胸が高鳴った。
その日は絶好の旅行日和だった。温泉街を並んで歩きながら、隣にいる梓の手をそっと握りしめると、梓は手を握り返してきた。お互いに照れてしまい言葉を発することはなかったけど、明らかに2人の間の空気が変わっていくのを感じていた。
お風呂上がりの無防備な浴衣姿の梓は、普段の生活の中では感じ取れない大人の色気があった。
頬を赤らめ、今から始まることに対する期待と、わずかな不安が入り混じった表情をしていた。

「梓、緊張してる?」
「ん……ふふっ、なんか変な感じだよ。私達、もう何年も一緒にいるのにね。まるで付き合った頃みたいな気持ち」
「それって、良い意味?」
「うん、もちろん……隆、私……必死に良い母親になろうとしていたけど、その反面、全然良い妻じゃなかったよね」
「そんなことないよ。梓は本当によくやってくれてる。家のことも沙紀のことも……いつもすごく感謝してるよ」
「ううん、それは女として隆を満足させてあげられないから、それを許されたくて頑張ってただけ。私、ずるかった。怖かったの。女になってしまうことが……」
「梓、気持ちは分かるよ。でもさ、今日だけは俺だけの、俺一人だけの梓になってくれないかな?俺はずっと、梓を抱きたかった……」
想いが溢れて泣きそうになり、それを振り切るように梓を強く抱きしめた。梓は同じくらい強く抱き返した。

上唇を舐めて、下唇を噛む。 角度を変えて、何度もキスを繰り返す。お互いの呼吸が徐々に乱れてきて、更なる快楽への欲求が高まってくる。
俺はそっと浴衣の合わせに手を差し込み、下着に覆われていないやわらかな乳房を手のひらで包んだ。そのままゆっくりと揉みほぐし、中心部分の乳首をつまんだ。儚げな甘い声が梓の喉から漏れる。呼吸が荒い。梓……感じてくれてるのか。
下半身の浴衣の合わせから太ももに手を滑らせていくと、梓の身体にほんの少しだけ力が入った。
構わずに愛撫を続けていると、梓は吐息を漏らしながら少し照れたような、でも不安を隠し切れない口調でポツリと言った。

俺は黙って下着を脱がせ、梓の火照ったその場所にそっと指先を下ろしていく。
外側を優しく撫でて、最後に中心部分の固くなったクリトリスを撫でる。
何度も優しく、根気よく。すると、みるみるうちに梓の中からトロリとした液体が溢れてきた。
「なんか熱い……これ、この感覚、覚えてる……すごい、気持ちいい……」
梓は身体を左右によじりながら、何度も喘いだ。顔を真っ赤にして、本能を剥き出しにしていくその姿に、心が大きく揺さぶられる。俺は抑え切れずに、一気に梓の中に入った。

梓は泣いていた。
泣きながら俺にしがみついた。
背中に爪を立てた。
溢れ出る感情を隠さなかった。
俺は梓の耳元で何度も「愛してる」と言った。何度言っても足りなかった。最後は掠れた声になって、嗚咽に変わった。その言葉を受け継ぐように、梓は何度も俺に言った。

俺は梓とずっと生きていく。これからもずっと、一緒に生きていきたい……
ほとばしるその想いは強い決意であり、切実な願いだった。
俺たちは一つのゴールを迎えた。
でも物語のハッピーエンドはここじゃない。
いつだって毎日は今日の繰り返しに過ぎず、 死ぬまで、何がハッピーエンドだったかなんて分かりやしないんだ。
だから俺はただ一つ、毎日全力で大切な人を愛そうと心に誓った。 自分の意志でこの物語をハッピーエンドに導くために。
End.